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前回は「カラダを股関節に乗せる」ことによって、股関節がより明確な支点となり、スプリント時により多くのエネルギー(代謝)を生むことができる。ということをWalking、Running、そしてSlope Dashを比べながら説明しました。
(前回記事のリンクはこちら)
今回は、その下半身のエネルギーの移行先である上半身、すなわち肩甲骨、そして広背筋の説明をします。SPRINT時において大きな力の流れは、例えば股関節(右)の屈曲を始動と考えるならば、
① 股関節(右)の屈曲、外旋 × 肩甲骨(右)の伸展、内旋
×
② 股関節(左)の伸展、内旋 × 肩甲骨(左)の屈曲、外旋
「×」はねじれ
次の③④は股関節(左)における屈曲の状態です。
③ 股関節(左)の屈曲、外旋 × 肩甲骨(左)の伸展、内旋
×
④ 股関節(右)の伸展、内旋 × 肩甲骨(右)の屈曲、外旋
「×」はねじれ
①~④を繰り返すことによって下半身、上半身による最大限の「ねじれ」を生み、その力を広背筋に伝えることができます。
(全てのラインが順次にねじれる)
通常のスプリントでは単に肩の伸展運動だけで広背筋を収縮させ、エネルギーを生むため、インナー・マッスルからのエネルギーを得ることはできません。
しかし、TOP SHAPE PROGRAMでは、肩甲骨内にあるインナー・マッスルの生むエネルギーが肩の伸展運動に足されるので、より大きな力で広背筋を収縮させることができ、その肩甲骨の内/外旋の動きが主力の下半身と上半身でつくるエネルギーをより増幅させ、最大限に引き出します。
これまでにも、ケビン山崎は自身の研究結果としてウエイト・トレーニングと食事制限で代謝を向上させるトレーニングプログラムから、神経系を用いたスプリント・トレーニングと食事制限の組み合わせで、より短期間での肉体改造を示唆してきた。中でもTOP SHAPE PROGRAMは、2週間、5回(1回1時間)で劇的にカラダに変化をもたらすと提唱してきた。
そのTOP SHAPE PROGRAMが、このたび進化したということで概要を聞いてみた。
代謝を向上させることにフューチャーした今回のTOP SHAPE PROGRAMは、これまで不可能(難しい)とされていたインナー・マッスルを使って代謝を上げることを可能にしたプログラムだ。このプログラムはインナー・マッスル(50%)+アウター・マッスル(50%)による100%の筋肉を使って代謝を上げられる。
スプリントバイオメカニクスにおけるHip Flexion(70度)、Hip Extension(20度)により早く到達するためには、「カラダを股関節に乗せる」という考え方が非常に重要となるらしい。
そこでWalking、Running、そしてSlope Dashを比べてみることにしよう。
Walking
① 股関節の屈曲(足を前に出す)
腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、内転筋群
② 着陸(踵が地面に着陸)
大殿筋、中殿筋、重心は後ろ足の股関節に乗っている
③ カラダが股関節に乗る
④ 母指球で地面をプッシュして離陸する
カラダは股関節に乗せることはできるが浅いので、内転筋群を使って内旋筋群をつくるまでは到達しない
Running
① 股関節の屈曲
Walkingと同様だがストライドが大きいため、より多くの筋量を使う
② 外旋着陸
大殿筋、中殿筋、深層外旋六筋群
③ カラダが股関節に乗る
②と③はほぼ同時
④ 母指球で地面をプッシュし、内転筋群と内旋させ離陸(内旋離陸)する
Slope Dash
Runと比べて全ての工程は同様だが、より強度の高いものとなる
したがってSlope Dashが成立することによって、より多くの代謝を上げることになる
フィットネスにおけるトレーニングの目的とは?
長年のキャリアを積み上げてきたケビン山崎は「代謝を上げること」だと言う。
痩せたい人、筋肉をつけてカラダを大きくしたい人、パフォーマンスを上げたい人、健康増進を目的とした人。それらはすべて、代謝が上がると手に入る。言い換えてみると、どんな種類のなりたいカラダも、フィットネスの中では代謝を上げることに繋がっている。
そもそも代謝とは、体外から取り入れた栄養素を分解し、吸収された栄養素をカラダの必要な物質に再合成することだ。基礎代謝や新陳代謝、エネルギー代謝などさまざまな代謝があるが、それらが活性化するためにはいくつかの手段がある。その中でも筋肉トレーニングは最も効率良く代謝機能を向上させることができる。
ケビンは、さらにそれらを深く掘り下げ、筋肉の使う量、使い方、意識の仕方によっても代謝機能の効率に格差が出ることを証明した。その手段を徹底的に研究し、最も代謝を上げることに繋がるトレーニングを編み出したのが『Over-All Muscle Training』だ。
手段
● ウエイト・トレーニング
アウター・マッスル(随意筋)を利用して、直接的に代謝を上げる。動きがそこまで複雑ではなく、短時間で効果を実感できることから、多くの人が実践している方法で代謝を上げることが可能。
<代謝 ★★>
● インナー・マッスル・エクササイズ
インナー・マッスルを使ったスタティックなエクササイズ (主にリハビリテーション)のことで、セラバンドをメインで使用するエクササイズ。これだけではなかなか代謝を上げることができない。
<代謝 ☆>
● 神経系トレーニング
インナー・マッスルを主導として、全身を動かすためのトレーニング。インナー・マッスルだけを動かすエクササイズとは異なり、全身を動かすことで大きくはないが、代謝を上げることが可能。
<代謝 ★(種目による)>
● スピード・トレーニング
スプリント・トレーニングに神経系トレーニングを導入したトレーニング。主に下半身から上半身へパワーの連動性に特化したトレーニング。ウエイト・トレーニングで代謝を上げるために要する期間を3週間と定めた場合、このトレーニングでは、2週間で同等の成果を得られた(Top Shape Programで実証済み)。
<代謝 ★★>
● Over-All Muscle Training
全てのインナー・マッスルを同時に作動させてアウター・マッスルに繋げるので、全てのアウター・マッスルも同時に作動できる。対象種目はスプリント・トレーニング。
<代謝 ★★★>
● Athlete Body Make Program(ABMP)
ある動作を最大出力にするために、正しい過程を導くプログラム(ABMPはトレーニングではない)。Over-All Muscle Trainingとセットで行う。
今回は、ケビンがインナー・マッスルの役割を解説してくれたものをまとめた。
筋肉が活動するとき、血中から脂肪酸、酸素(O₂)、グルコース(糖質)などが筋肉内に入り、その活動を続行することができる。例えば、有酸素運動をするときは、主に血中から脂肪酸、酸素(O₂)が筋肉内に誘導され有酸素運動を続けることができる。またウエイト・リフティングなどのときは、主にグルコース(糖質)、酸素(O₂)が筋肉内に誘導され、その動作を続けることができる。
そして、その活動を定期的に続けることで、【図1】のように脂肪酸、酸素(O₂)、グルコース(糖質)などを筋肉内により多く取り入れるのを可能にする酵素(タンパク質)が成長し、その活動をより長く、強く続けられる。
筋肉にはインナー・マッスル/アウター・マッスルの2種類がある。その体積(重量)の比率は1:1で、総数640個に対して、インナー・マッスル:アウター・マッスルは9:1(すなわち576:64)となる。
筋肉
代謝
一つひとつのインナー・マッスルに対するトレーニングはほとんど効果が無く、アウター・マッスルに対するウエイト・トレーニングが重要な役割を果たす。
通常のインナー・マッスル・トレーニングでは筋肉のサイズが小さいため、代謝を上げることはできないが、アウター・マッスル・トレーニングは筋肉のサイズが大きいため、効率良く代謝を上げることができる。【図2】
では、どのようにすれば、インナー・マッスルを使って代謝を上げることができるのだろうか?
インナー・マッスルの特性として、一つひとつの筋肉のサイズは小さいが、たくさんあるということ(筋肉の総数のうち90%がインナー・マッスル)が挙げられる。そして、それを可能にしてくれるトレーニングが神経系トレーニングだ。
神経系トレーニング
神経系トレーニングとは、すべてのインナー・マッスル(576個)を同時に作動させてアウター・マッスルへ繋げるので、すべてのアウター・マッスル(64個)も同時に作動できる。
フィットネスにおいては、現状スプリントが唯一の種目となる。
「日本のフィットネスには欠けているものが1つあります」
そう語るのは、日本のフィットネスを変えたと言っても過言ではない、パーソナル・トレーナー ケビン山崎だ。ケビンは自身が1981年にパーソナル・トレーナーとして活動をはじめ、多くのトップアスリートを手掛け、その経験を一般人と呼ばれる強度の低いアスリートにも活用できるメソッドを構築していった。
そのケビンが今、満を持して伝えるのが、フィットネスのあるべき姿だ。
以下、ケビンの言葉を借りて説明しよう。
「フィットネス」つまり、カラダの代謝を上げるためにトレーニングをすることをいかに効率よく、最大の結果へつなげるか、が重要なポイントとなる。全身を連動させながらトレーニングすることで、より多くの代謝を生み、その結果として脂肪燃焼を起こすことができる。通常のトレーニングは、各部位のアウターマッスル中心のトレーニングを組み合わせたものがほとんどで、全身を同時に連動させるトレーニングと比べて効率良く代謝を上げることは困難なため、脂肪燃焼効率も低くなる。
ここで言う、全身を連動させることとは、力の流れの始まりは母趾球であり、その力を股関節のインナーマッスルに繋げ、その力をさらに肩甲骨のインナーマッスルへと連動させる。そしてそのカラダの内側にあるインナーマッスルの力を外側のアウターマッスルに連動させ、パワーに変換させる。というわけだ。
そこで、身体運動の連動性を考えた場合、股関節の独立性が重要となる。股関節の独立性とは、左右の股関節をスクワット・エクササイズのように同時に使うのではなく、左右別々に使うということだ。すなわち股関節の独立性とは、左右の母趾球の独立性を意味する。その結果、トレッドミル・エクササイズが最適なものであると言える。
トレッドミル・エクササイズ
トレッドミルを使用したエクササイズは、スプリント/ダッシュを意味する。では、なぜスプリント/ダッシュが重要なのだろうか? 引き続きケビンの話を元に解説してみよう。
ジョギングをする目的は健康管理であると大抵の人たちは思う。しかし、スプリント/ダッシュとなると、一般の人たちにとって何の目的に実施するのか明確ではなく、また、あまり実施している姿を目にする機会もない。
例えば、スポーツの世界で、スプリント/ダッシュというと、主に神経系トレーニングを意味する。神経系トレーニングとは、より多くの不随筋であるインナーマッスルをカラダの動作に導入させ、随意筋であるアウターマッスルと合わせてその動作のパワー・アップ、そしてキレ等を向上させることだ。
不随意筋の代表格である大腰筋/腸骨筋を向上させるためには、スプリント/ダッシュ・トレーニングが最適であり、坂道で行うことでより強度は増す。一般の人たちも、この神経系トレーニングとしてのスプリント/ダッシュ・トレーニングを導入することで、ゴルフなどのスポーツ分野だけでなく、日常生活にも大きな影響を与え、代謝を上げることに繋がる。またそれに加え、動作に対する判断力やキレも向上し、人生の密度を上げることができるだろう。
今、私たちはただ単に引き締まったカラダや健康的な肉体を求めるのではなく、動きの良さが所作に繋がり、また、自分自身を表現する大切な要素になってきている。アスリートのトレーニング強度を一般人へ変換させながら導入することは、現代社会のフィットネスの定義をまさにコンプリートしているものではないだろうか?
ケビン山崎がこのメソッドを日本中に広げたい。そんな志を我々に身をもって教えてくれる日もそう遠くはないと思う。
ケビン山崎がパーソナル・トレーニングを日本に持ち込み、トレーニング・ジム「TOTAL Workout」を東京に設立してから23年が経つ。その間トレーニング結果として多くの人がなりたいカラダを手に入れてきた。
当時ジムに来る人は、『痩せたい』『筋肉をつけたい』といった体型に関するトレーニング結果を求めていた。そしてウエイト・トレーニングと食生活の改善、正しいボディケアを施すことで、短期間でそれを手にすることができた。
時を同じくして、ケビンは常にアスリートに求められるパフォーマンス向上のためにトレーニングを提供していたこともあり、ジムに来る一般の人達においても、ただ体型の変化を得るだけではなく、つくった筋肉を動かせるようになっていった。例えるなら、座っている姿勢、立ち姿が整い、カッコよい歩き方などを習得できる。時代が画像から動画へ変化する今、やっとこの「動き」の美しさこそが、男女を問わず「かっこいい」の定義になったのではないだろうか?
以前のNEWS/TOPICSでも紹介したように、ケビンは随分前からこの動きにこだわりを持っていた。つまり、トレーニングをする最終ゴールは体型という器をつくるだけではなく、動きを取り入れることにある。それを『神経系トレーニング』で可能にしたのだ。
『神経系トレーニング』とは2つ以上の筋肉を順番に連動させることだ。中でもケビンはSprintに目を付けた。運動の中で最も強度が高い動きであり、これまでの人生においてほとんどの人が体験したことのある動きであるからだ。Sprintがうまくなることで、神経系は進化する。
今回は、そのSprintの動きをより良くするために活用される2種類のトレーニングについて述べたい。
【 ピラティス 】
1つはピラティスだ。『TOTAL Workout』にはオリジナルのピラティスがあり、リフォーマー、キャデラックという器具を用いて機能解剖学の見解からカラダの使い方や背骨を動かし、姿勢改善、カラダの中心軸をつくることを行うトレーニングである。
リフォーマーはスプリングを使用することで負荷の調整を行い、マットは自体重での負荷調整、キャデラックはアプローチの変化による負荷調整が行える。これらは、ケビンが提唱するSprint(ダッシュ)においても、必要なインナーマッスル(下腹部、内転筋、腸腰筋、菱形筋、腹斜筋)をレベルに応じてアプローチしていき、最終的には総動員させてカラダをダイナミックに動かすことを可能にしている。
代表的な種目は下記の2つだ。
トゥ・シングルレッグ
Sprintで必要なグルーとのプッシュから腸腰筋で引き上げる動きを、リフォーマーの台を使用することで腹横筋の意識を高め、スプリングが母指球でプッシュする感覚を高めてくれるため、この2つ以上の筋肉を連動させて使う練習が容易となる。
ロールアップ・シングルレッグ with ワンハンドロウ
Sprintの際に下半身から上半身を連動させるために必要な筋肉をリフォーマー上でスプリングという負荷を用いることで、腸腰筋の意識を高め、上半身では腰方形筋を働かせつつ菱形筋で引く練習が容易となる。
【 ヨガ 】
もう1つはヨガ。ヨガは本来静止したポーズ(アーサナ)をとることで、心を整える修業としても用いられる。Sprintのトレーニングを底上げしてくれる柔軟性やバランス力、集中力を養う。ケビンはこれをただの底上げではなく特徴を活かし、Sprintのトレーニングにおけるウォーミングアップの最適形にした。
代表的な種目は次になるが、Sprintで使用する筋肉の可動域を集中的に広げるとともに、アーサナを止まらず取り入れ、動きをつなげていくことによってしなやかな動きをつくり出し、これから取り組むSprintのウォーミングアップになる。
ハーフムーン ポーズ
Sprintの動きでは股関節内外旋など3Dの動きが必要になってくる。このアーサナはSprintにおける一瞬の動きを抜き出し、股関節の内外旋を意識的に行いながらバランスをとることで、より走りで必要な筋肉の意識付けと安定感が高まる。
シングルレッグエクステンション
Sprintの動きで地面をプッシュする際に臀部を使うが、臀部を上手く使えない原因は骨盤の前傾にある。ヨガのアーサナで骨盤の後傾を保ったまま臀部に刺激を入れ、臀部を使ったプッシュの意識付けを行う。
ピラティスやヨガ、それぞれのトレーニングの特性を最大限に活かし、Sprintに特化した役割を持つものへ変化させることは、最短で最大の結果を求めるケビンらしいメソッドだと感じた。
目的に向かって効率の良さを見出せるのも、長年積み上げた知識とエビデンスに基づくものであって、トレーニングは流行りや人気ではなく、欲しい結果に向けて何をアレンジしていくか?が正解なのだと思う。
ケビン山崎はフィジカルを高めることを何よりも得意とするパーソナル・トレーナーだ。しかし、それはただ単に筋力を高めることや、アジリティ、パワーなどに特化したものではない。それぞれのスポーツに応じたトレーニングと、その選手に合わせてカスタマイズが施された唯一無二のものだ。
例えば、記憶に新しいSASUKEにおける武尊選手のトレーニングは、SASUKEという競技に適したフィジカルトレーニングを提供する。筋力ではなく、パワーエンデュアランスが必要になるこの競技では、UCTをメインに行う。
UCTとはアルティメットコンバイントレーニングの略で、強度が高い最強トレーニングの組み合わせを意味する。このトレーニングは、以前から武尊選手が必ずといってよいほど取り入れていた。格闘技は心拍が乱れた環境下で、最大のパワーを出す必要があるためだ。とケビンは説明してくれた。
より試合に近い状況をトレーニングにおいてつくることで、心肺機能の向上やパワーを引き出すことができるという。SASUKEにおいても様々な環境下でパワーを出す必要があり、UCTはすべてを網羅しているトレーニングだ。
今回は、トレーニングの内容を少し紹介することにしよう。
● STT(スーパー・トレッドミルトレーニング)
「スーパー・トレッドミル」を使用し、坂道をダッシュするときのカラダの使い方を学ぶことで、脳から筋肉への指令を出す神経伝達経路を良くし、2つ以上の筋肉を順番に使う能力(連動)を向上し、キレのある動きや爆発的な瞬発力を生み出すトレーニング。武尊選手はその中で最も強度の高いChris Carterを行っている。
● マルチヒップ(ハイニー、キックバック)
内転・外転筋、腸腰筋、大臀筋の強化および意識付けを重さが邪魔する環境下で行う。フォームの安定感を生み出し、ダッシュ時の爆発的な脚の引き上げ、地面を蹴る力を向上させるトレーニング。
・ハイニー
爆発的な脚の引き上げを向上させるトレーニング。
・キックバック
爆発的な地面を蹴る力を向上させるトレーニング。
● カーブ・トレッドミル
ダッシュの最高速度を上げるトレーニング。
トップスピード(MAX約30㎞/h)で3秒×5本
● ラダー、ミニハードル、ハードルジャンプ、ボックスジャンプ
複数の種目を組み合わせたクイックネスを向上させるトレーニング。武尊選手の場合、強度を上げるために4つを組み合わせて行っている。最終種目のボックスジャンプにおいては、さらに強度を上げるために、通常2段で行うところを3段にしてレベルを上げている。
● MHJP(マルチヒップジョイントボード)を使用したトレーニング
四肢の連動性を高めるトレーニング。両手両足をタイミングよく動かすことによって、最大限のスピードとパワーを手に入れることができる。
● Versa Pulley
VersaPulleyは Force(力)とVelocity(速度)を組み合わせたResistance(抵抗)を利用し、パワーにおける神経系の向上を可能にするトレーニングマシン。パワーにおける神経系を効果的に向上させることができる。動作ごとに出したパワーが数値として可視化されるため、1回の出力に全力を注ぐことができる。また、このトレーニングでは前後左右の出力を向上させることができる。
● プルアップ(プルアップ3カインズ プルアップ&クラップ)
全身を使ったチンニングの種目で、瞬間的な出力の向上。主に上半身強化のために行う。
・プルアップ3カインズ
順手、坂手、ワイド、ナローなどの中から3種類を連続して行う。
・プルアップ&クラップ
カラダが持ち上がったタイミングで手を叩く。背中だけでなく全身を使わないとできない強度の高い種目。
● Abdominal Circuit
パフォーマンスに直結する腹筋出力の向上。最も強度の高いCOREのトレーニング。
東京都内にあるトレーニング・ジム 「トータル・ワークアウト」を覗くと、多くの人が熱心にカラダを鍛えている。
トレーニング・ジムという名の通り、それぞれがパーソナル・トレーナーと共に、しっかりとトレーニングに向き合う姿勢が特徴的だ。
ケビン山崎が日本に「トータル・ワークアウト」を設立したのが2001年。それ以来、進化し続けるトレーニングは今や3450通りにもなるという。
そのトレーニングを一つ残らず落とすことなく技術として身につけ、日夜お客様に伝え、指導しているのが、トータル・ワークアウトのパーソナル・トレーナーだ。
彼らは、入社した時から決められたカリキュラムの元、トレーナー研修を受講する。中には、自分自身のカラダの変化を評価される「3週間トレーニング」の実施もある。とにかくこの期間はひたすらトレーニングと食生活の改善を行う。
自分自身の体験を元に指導するトレーニングは、何と言っても説得力がある。そして、指導経験を重ねていくトレーナー達は、3年間で一通りのトレーニングを学び、指導許可をもらえるよう取り組む。
3年以降もブラッシュアップや進化したトレーニングをケビンが直接指導する「パーソナル・トレーナー養成講座」として学び続ける。
習得が難しいもの、指導が困難なものも多くある。さぞかし緊張感があるだろうと覚悟してその様子を見学させてもらうことになった。
この日はベーシックなカラダの使い方を学ぶ日だった。
クイックリフトといって、2つ以上の筋肉を順番に使う、神経系のリフティングだ。高重量のおもりをただ挙上するために必死になるのとは違っていて、筋肉の使い方にこだわったリフティングだった。
そこにいるトレーナー達はみんな楽しそうだった。ああでもない、こうでもないと意見を交わしながら練習をしている。誰かが「今日はここまでにしよう」と言わなければ永遠に行っていそうなくらい。彼らはトレーニングが好きなんだなと一目でわかった。
きっと職業になるといろんなことが起きて、たくさんの気持ちになるだろう。それでも、彼等の根底には「トレーニングが好きである」ということが存在しているのだろう。
そして、こんなトレーナーにカラダを診てもらえるお客様と呼ばれる生徒たちは幸せだろうなと思った。
ケビンが今回パーソナル・トレーナーのみんなに伝授していたトレーニング内容は、素人の自分が聞いていても、面白く、非常に興味がもてるものだった。中でも印象に残ったのは「すべてのスポーツに適用できるパフォーマンス向上の施策」だ。
これはまた、次の機会に詳しく説明することにしよう。
我々日本人が「パーソナル・トレーナー」という言葉を耳にしたのはいつのことだろう?
それはまだ「ボディメイク」という言葉も聞きなれない時代、「肉体改造をマンツーマンで行うトレーナー」がいるというのを知った頃だ。
遡ること20数年前…。 現代のようにインターネットがまだ情報収集の主流になく、伝える手段がマスメディアのTVや雑誌、新聞だった頃、ケビン山崎はここ日本にパーソナル・トレーニング・ジム 「TOTAL Workout」を設立した。
それ以来、スポーツ選手や著名人を皮切りに多くの人たちがジムへ通うようになり、今や日常的にその重要性までが理解されるようになった。一種の社会現象とも言えるであろう。
この環境の中心にいるのは、あくまでもトレーニングを実施する人であることは間違いないが、常に隣で結果を導き、サポートする役目を担う「パーソナル・トレーナー」の存在があった。
ケビン自身もパーソナル・トレーナーとして活躍の場を広げ、ジムには多くの弟子達が集い、日本一のパーソナル・トレーニング・ジムを築いていった。
カラダの変え方をこれといって知らない日本人にとって、ケビンが打ち出したカラダづくりは実に画期的なものだった。年月とともにカラダづくりが多くの人に浸透し、日常的なものになりつつある現在、その手法は「TOTAL Workout」のメソッドひとつだけではなくなった。
そもそも、カラダづくりを含むフィットネスというものは、健康な人が取り組むものであることが定義なので、やや不調があったとしても病気にカテゴリーされない限り、医師の処方箋が必要ではない。
そのことからも、フィットネス業界に存在する「パーソナル・トレーナー」には国家資格がない。つまり誰でもなれるということだ。カラダづくりの専門家であるはずの「パーソナル・トレーナー」の地位向上が実現しないのも納得できる。
ただ、果たしてそれでよいのだろうか?
人生100年時代と言われる今だからこそ、人生をどう生きるか、ということはとても大事になってくる。切っても切れないのが「健康」だ。
病気じゃないから良しとする時代はとっくの昔に終了し、今となっては質の高い毎日を積み上げていく人生がスタンダードになろうとしている。パーソナル・トレーナーはそれを一人でも多くの方に届けることだと思う。ケビンは強くそのことを訴えてきた人だ。
そんなケビンは、1994年より指導者の教育に着手してきた。
日本人の体育学部を専攻している学生たちに将来の職業として「パーソナル・トレーナー」の存在を伝え、研修を始めた。
東京にトレーニング・ジムを設立して以降、2016年には満を持して日本体育大学とパートナーシップを結び、パーソナル・トレーナーの養成講座を開講した。コロナ禍で一時休講を余儀なくされたが、トータル・ワークアウトのパーソナル・トレーナーは研修という形で、以前と変わらず講義を受講することができる。
日々クライアントと実践する時間はもちろん大切ではある。しかし、こうして理論を学びトレーナー自身が成長し続ける環境があるというのは、ジムへ通う人々にとって安心を得られることだろう。
そのときの感覚や感情でトレーニングを組み立てるのではなく、しっかりとした理論とエビデンスのもと、「効率の良さ」を徹底して学ぶ。
そんなトータル・ワークアウトのパーソナル・トレーナーは質が良い。
そう言われる理由はここにあるのだろう。
今回は、前回に引き続き新しいプログラム STRIKE ARTS PROGRAM 【3D】 について詳しく説明することにしよう。
このプログラムは格闘技において、パンチとキックという大きく分けて2つの攻撃を元に構成されている。
このプログラムの開発者ケビン山崎は言う。「プロのアスリートが無意識にコントロールしている多くの技術をバイオメカニクス的に解説し、それを理解することで、一般の方やアマチュアのアスリートたちにも広く役立つことがあります。もちろんそれはプロのアスリートも例外ではなく、スランプに陥った際、回復への糸口となることは間違いありません。股関節のローテーションにおいて、インナーマッスルを正しく作動させることを目的としたメソッド Athlete Body Make Program をベースとし、格闘技におけるパンチとキックに応用させたSTRIKE ARTS PROGRAM 【3D】は、それぞれのパワーやキレの向上が期待できます。それだけではなく、野球のピッチングでいう球種に当たるパンチやキックを、変則的なものにできる技術の習得にもつながります」と。
プロアスリートとトレーニングを積み上げてきたケビン山崎ならではの観点から、一般的に健康を目的としてトレーニングジムに来る顧客でも、役立つカラダの使い方を学ぶヒントがここにあるかもしれない。
このプログラムは、下半身の力を上半身にうまく連動させるために、上半身の下部つまりLower Torsoの使い方を分かりやすく導入すること(クランチ)にフォーカスしたプログラムになっている。主に股関節のローテーションをする際に、一旦骨盤を前傾させて内旋筋群と外旋筋群を作動、ほぼ同時に腰方形筋を使ってクランチする(側屈)。その効果が出力される方向に力が行きはじめ、一瞬戻って、また出力されるという小さな動きが入る。これがパワーや安定感、キレにつながり、使い方次第では動きに変則感を与えることが可能になるということだ。
ここからは、パンチではストレートとフック、キックではハイキックを例にして説明しよう。
【パンチ】
Straight/Hook
※オーソドックス Straightをバイオメカニクス的に分析し、筋肉の連動を意識的に行うため、VPX(チューブ)とKnee strapを使用する。これらは、前方への動きをわざと制御し使用部位を意識しやすくするという特徴がある。感覚的にはねばりを感じ取ることが可能。それらで得られるものは、股関節のパワーと安定性の向上になる。 |
※オーソドックス Straightをバイオメカニクス的に分析し、筋肉の連動を意識的に行うため、VPX(チューブ)とKnee strapを使用する。これらは、前方への動きをわざと制御し使用部位を意識しやすくするという特徴がある。感覚的にはねばりを感じ取ることが可能。それらで得られるものは、股関節のパワーと安定性の向上になる。 |
For Power
後方(右)股関節にVPXとKnee strapを装着
後方(右)股関節に重心を乗せ、Lower Torsoをクランチ
後方(右)股関節を内旋筋群によって前傾させ、ほぼ同時に腰方形筋でクランチしながら右股関節で床方向にプッシュ。そして体重を前方(左)股関節に移動し、前方(左)のLower Torsoをクランチさせた力をStraightにつなげる。
For Stability
前方(左)股関節にVPXとKnee strapを装着し内旋/外旋時の使用筋肉意識の向上とプッシュ時にテンションをかける。プッシュの意識をより高めるためには、KOHの使用もおすすめ。この動きが良くなると、動きがタイトかつシャープになる。
【キック】
High Kick
Sprint Cordを使用。 軸足は床反力を利用し、股関節を外旋させる。軸足側の肩甲骨は外旋、反対側の肩甲骨は内旋させる。蹴る脚の付け根から突き出すようにしてKickをする。※Sprint Cordは斜め下から引っ張るようにする。 |
Sprint Cordを使用。 軸足は床反力を利用し、股関節を外旋させる。軸足側の肩甲骨は外旋、反対側の肩甲骨は内旋させる。蹴る脚の付け根から突き出すようにしてKickをする。※Sprint Cordは斜め下から引っ張るようにする。 |
上記のように、パンチとキック時に使用する筋肉を正しく意識することで、パワーアップや安定性、変動的な動きが可能となり、攻撃に幅を持たせることができる。
紹介したのはごく一部だが、自分自身の癖やうまくいかないポイントを解明してもらい、それぞれのエクササイズを行うことで、確実に成長していくことができるだろう。
ARCHIVES
- 044 進化したTOP SHAPE PROGRM②
- 043 進化したTOP SHAPE PROGRM①
- 042 Over-All Muscle Training
- 041 神経系トレーニング
- 040 ケビン山崎が語る「これからのフィットネス」
- 039 SprintのためのTraining
- 038 スポーツスペシフィック
- 037 パーソナル・トレーナー養成講座 (実技編)
- 036 パーソナル・トレーナー養成講座 (理論編)
- 035 STRIKE ARTS PROGRAM 【3D】 ~Boxing/Kicking編~
- 034 STRIKE ARTS PROGRAM 【3D】
- 033 ケビン山崎が語る 「パーソナル・トレーナーの歴史と未来予想図 ②」
- 032 ケビン山崎が語る 「パーソナル・トレーナーの歴史と未来予想図 ①」
- 031 Personal Trainer Bible
- 030 ケビン山崎が語る「新しいフィットネスとは」②
- 029 ケビン山崎が語る「新しいフィットネスとは」①
- 028 Athlete Body Make Program(ABMP)で得られるもの
- 027 ケビン山崎が語る 「野球人金子千尋」
- 026 3週間でカラダを変える肉体改造メソッド
- 025 GOLF PROGRAM 【3D】
- 024 女子レスリング 金メダリスト 志土地真優 × ケビン山崎
- 023 アスリートのサポート
- 022 フィットネスのための神経系トレーニング
- 021 Athlete Body Make Program(ABMP)
- 020 Personal Trainer Kevin Yamazaki
- 019 MUSCLE BIBLE 筋肉伝道師の最終解答
- 018 向田真優選手×ケビン山崎
- 017 神経系トレーニング ~一般人は強度の低いアスリート~
- 016 安樂智大選手 × ケビン山崎
- 015 トレーニングの進化②
- 014 The 一刀流 ~Propulsion Drive~
- 013 武尊選手進化のカギ
- 012 トレーニングの進化 ①
- 011 トレーニングの進化
- 010 Mr. Steve Swanson
- 009 Athlete Training Report Vol.1
- 008 若返るということ~体内復元~
- 007 ATHLETIC REPUBLIC
- 006 武尊選手×ケビン山崎
- 005 目指せATHLETE BODY
- 004 TOTAL Workout
- 003 最先端のトレーニングとは
- 002 高山勝成選手×ケビン山崎
- 001 挨拶