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気休めや思い込みだけでトレーニングをして、やらないよりはやった方が少しは自分のためになる。そう思いながらトレーニングに取り組んでいる人がいるのなら、、私は声を大にして言いたい。
「ぜひ一度、ケビン山崎のトレーニングを受講してみてほしい」と。。
大人になって、何か新しいことを発見するような機会があまりにも少なくなったことに気づくだけでなく、自分の可能性の大きさを知ることができるからだ。

ケビン山崎の新メソッドがプログラム化された「Athlete Body Make Program(ABMP)」は、一般の人でもプロアスリートのトレーニングが体験できる内容になっている。
これまで「くせ」だと思っていたことや、「できている」と思っていたカラダの各部位への意識が180度違っていたことを知るだけでなく、「なぜプロアスリートがそこまでトレーニングと真剣に向き合うのか」を感じ取ることができるのが特徴だ。

プログラムが公開されたのは2021年。公開されてから最も早い段階でこのプログラムを受講された男性のお客様に、今回はその内容を振り返ってもらった。

彼はアマチュアながらもゴルフの腕前はプロ並みで、多忙な中でも週2回のトレーニングを欠かさず、健康や美しいカラダを目指すことは勿論、ゴルフにおけるパフォーマンスの向上も目的として質の高いフィットネスライフを送っていた。その彼がケビン山崎とトレーニングしたいと思った理由は、ゴルフにおけるパフォーマンスを磨きたいことと、その分野の一流に触れてみたかったからだと言う。
全9回、1回2時間半のプログラムを終え、生まれ変わった下半身の動きをうまく上半身へつなげるため、4回の追加プログラムを実施した。
その結果、非常にシャープでカッコよいゴルフスウィングを習得し、ドライバーの飛距離アップ、重心の安定したミート率アップ、体幹部への意識向上、そして大きな副産物として、ウエイト・トレーニングでの重量もアップしたという。

勿論、楽々とこれらの能力を手にしたわけではなく、プログラム期間中の大半が苦戦続きだった。
その中でも、股関節に重心を乗せるということには手を焼いた。本人的には、今までもこの部分にはひと際意識を傾けており、その動きを実践していたという。しかし、それは本来の『重心を乗せる』こととはかけ離れていた。自分ができていると思っていたことが実は違っていて、それを修復するには相当な時間を要するし、ある意味センスも問われるだろう。大の大人がこんな小さなことに長い練習時間を費やす。ミリ単位でこだわるケビンに対し、焦る気持ちと葛藤が続いた。






アシスタントについていたトータル・ワークアウトの倉品トレーナーは、そのころを振り返り印象に残ったことを語ってくれた。
「“Power = インナーマッスル × アウターマッスル”という定義のもと、不随意筋として作用するインナーマッスルは、随意筋であるアウターマッスルで環境をつくらないと作用しない。いくら筋力が強くても、その環境が作れないとインナーマッスルは上手に作用しない。それを熱心に伝えるケビンの姿が印象的だった」と。
そして、たとえ選手でなくても、選手と何一つ変えることなく、同じ熱量でトレーニングに臨んでいたケビンから、クライアントへの物事の伝え方を学んだと教えてくれた。一つの動作、種目を多角的に見ていくことが重要で、その修正方法はより明確となって階層分けされていく。アシスタントで学んだトレーナーとしてのスキルは、日頃の自身のセッションにも活かすことを忘れず、伝え方を階層分けし、細かく伝えることを意識しているそうだ。その結果、クライアントの理解度が向上し、コミュニケーションが円滑になる。そうすると、目的のカラダ、目的までの期間を短く設定できるようになる。お客様はケビンのトレーニングを受講することで、必ず新しい発見とトレーニングに対するモチベーションが上がると確信していた。

カラダの使い方を学ぶということは、これまでの自分自身を知り、正しく整え、そこからスタートして様々な課題に取り組むということ。そのために乗り越えるべき高いハードルがあることも理解できる。そして、新しい発見を得たときには、これまでよりも明らかにグレードアップした自分になるのだろう。









日本ハムファイターズを自由契約となっていた金子千尋投手が、2022年12月23日、現役引退を表明。
来季からは日本ハムファイターズの特命コーチに就任。半年間は米国レンジャーズへコーチ留学を予定している。
「動作解析など最先端の技術を取り入れたトレーニングやコーチングなどをアメリカで勉強したい」と意気込む金子千尋氏について、2018年からトレーニングを共にしたケビン山崎に聞いてみた。

「彼を一言で表すと、欲しいものを明確に解っている人。5年前、シアトルにあるDRIVELINEに一緒に行ったんだけど、そこで提案されたエクササイズのコンテンツを一度体験すると、次の日には自分なりのアレンジをもって、自分自身に役立つ形に変えちゃったりする。物静かな人だからその時には何も言わないんだけど、必ず必要なものをチョイスしてアレンジして、モノにしちゃう。こちらがそれを指摘したり質問したりするとやっと答えてくれる。そんなクールな中に情熱的な向上心を持つ投手だと思う」と教えてくれた。





それは、今後の抱負を語る金子氏の言葉にも垣間見られるものだった。
「僕が現役中にやっていたから『これをやれ』みたいな、根拠がない指導はしないようにしたい。『この選手はこうすれば伸びる』『この選手はここを直せばもっと良くなる』と個性をしっかり評価できる、まずは選手を見る目を付けたいと思っています」
「良いところをどんどん伸ばし、スケールの大きな選手を一人でも多く育てたい」と金子新コーチにおける理想を語ってくれた。

金子千尋投手は多彩な球種を扱い、完成されたフォームからパーフェクトな制球力を誇る選手だった。そのピッチング技術、考え方は多くの野球選手の憧れとなり、チームメートにおける信頼も厚い。
平均球速役144Km/h、最速154Km/hのストレート、縦のカーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップ、スプリットフィンガード・ファストボール、パワーシンカー、ワンシームを投げ分ける。四球が少なく与四球率は2018年までの通算で2.09と優秀な数値を記録。オリックス時代には2008年から3年連続1個台。





トータル・ワークアウトではケビン山崎と2018年11月からトレーニングを共にし、翌月12月にはケビンプロデュースのもと、トレーニングの本場であるアメリカシアトルのDRIVELINE BASEBALLにてプログラムを実施した。
最先端のトレーニング研究機関であるSports Performance Lab.にて開発されたトレーニングでは、Redcordを活用したAthlete Tuning Method(ATM)®︎を中心としたプログラムを実施していた。ここでも冒頭にケビンが述べていたように、提案されたトレーニングを自分なりにアレンジし、確実なものとする金子投手がいたようだ。





人生の第二幕が始まる金子氏と、選手を介して時間を共有していきたいと思うケビンのトレーニングにおける化学反応に期待したい。



【金子千尋氏|主な経歴】
長野商高、トヨタ自動車を経て、2004年のドラフト自由枠でオリックスに入団。多彩な変化球を操り、4年目の2008年から先発ローテーションの柱として活躍。同年から4年連続2ケタ勝利をマーク。
2010年は17勝で最多賞のタイトルを獲得。2013年はシーズン無敗で24勝を挙げた田中を抑え、最多奪三振(200K)のタイトルを獲得。2014年も16勝5敗、防御率1.98、199奪三振の好成績、2度目の最多賞、初の最優秀防御率賞を獲得。リーグMVPと球団初となる沢村賞にも輝いた。
故障が増えた2015年以降は成績を落としたが、オリックスでの14年間で計120勝をマーク。
日本ハムでの4シーズンは計10勝に終わったものの、移籍初年度の2019年は8勝7敗、防御率3.04と活躍。
通算成績は387試合(281先発、106救援)で130勝94敗5セーブ、防御率3.08。

長野県長野商業高等学校
トヨタ自動車
オリックス・バファローズ (2005 – 2018)
北海道日本ハムファイターズ (2019 – 2022)





今でこそ当然のように、『トレーニング』 や 『ジム』 『パーソナル・トレーニング』という言葉が飛び交う日常。
しかし、20年前の日本にそんな日が来ると誰が想像していただろう。
健康であるためには適度な運動が必要であることや、ダイエットは食生活の改善だけに頼らず、カラダを動かした方が効果的であることは知られていたが、「なりたいカラダ」になるためのメソッドを探し求める人は皆無に近かった。

そんな日本のフィットネスを変えたのが「ケビン山崎」だろう。ケビンはこれまでの記事にも述べてきたように、アメリカから『パーソナル・トレーニング』を日本に持ってきた第一人者だ。
そのケビンが昔も今も変わらず提唱し続けているメソッドが『TOTAL Workout』だ。




そもそも、『TOTAL Workout』という名前の由来は何なのだろう?ケビンに聞いてみた。
アメリカ時代、ジムで働いた営業後にスクワットを行っていると、トレーナー同士が自然と「Can I Join?」と集まってくる。それはある意味競争であり、職業のために行う研究でもあり、真剣なメンバーが集まって何やら情熱の交換をする。でも、緊張感漂うようなギスギス感はない。

そんな感じがWorkoutだと言う。Work inといったら対象が一人。Work outというのは広がった意味合いを持ち、みんなで真剣に行うという意味になる。そんな環境で生まれるProgramの名前が『TOTAL Workout』だった。
「みんなライバルだけど、そんなのは関係ない。みんなとの心地良いトレーニングの時間が自分自身をより活性させ、結果につながる」とケビンは言う。





ここからは当時の『TOTAL Workout』というプログラムの中身に触れてみたい。
まずはプログラムとしての期間について。やる気がマックスになったとき、人は最も結果を残すことができるらしく、その「やる気」を損なわないような期間、満足のいく過程、納得できる結果・・・カラダを変えるために必要な要素を片っ端から並べたケビンは、ある「期間」の設定を見出した。それが 『3週間』だった。

3週間は、人間が頑張り抜くギリギリの期間であり、人間が順応する最短の期間でもある。ケビンはアメリカでこの3週間をプログラム化し、パーソナル・トレーナーとして活躍していた。
当初の彼のプログラムは週6日トレーニング、週1日オフで3週間。最初の2日は15RMのendurance、次の2日間は10RMでhypertrophy、次の2日は5RMでPower。それを3週間。2週間を過ぎると、人間は飽きてしまう。どこか痛かったり、しんどかったり、クライアント側はやめたくなってくるが、一生懸命行っているのでやめたいとは言えない。
そしてやり切った後に得た大きな成果と共に、また定期的にこの過酷な3週間にトライしたいと思わせることがトレーナーとしての実力となる。トレーナーは、数ヶ月後に進化したものを提供して、絶えずちょっとずつ変化させ、お客様も進化させることで、飽きさせないようにする。選手の場合は、得たい能力も決まってくるので、同じことを行うことも多い。ただ、その分を開発して、引き出しを増やしてさらに追い込むことが必要である。

今のトータル・ワークアウトで会員の皆様へ提供しているのは、そこまで強度の強いものではないが、多くの人のカラダを変え続けてきたエビデンスを元に、もっとも効率よく効果的なトレーニングを同じく3週間という期間で行っている。
時代は変わり、一般の人が自分自身の「なりたいカラダ」を明確に持つようになり、日常を豊かにするために、それを手にしたいと強く思うようになった。合理的でかつ現実的なトレーニングを提供することで、『元祖TOTAL Workout Program』の重要な部分が多くの人に伝わることを願いたい。





2022年11月30日

GOLF PROGRAM 【3D】

トレーニングをする目的は、人それぞれ…。
痩せたい人、筋肉をつけてメリハリあるカラダを手に入れたい人、健康になりたい人、運動不足を解消したい人などが代表的。そして中には、パフォーマンスを向上したいという人も少なくはない。

ケビン山崎が設立したトータル・ワークアウトは2022年11月現在、会員の6割が男性、4割が女性で、共に平均年齢は44.8才だという。その年齢層の男女はゴルフを趣味にしている人も多く、力の入れようはプロ顔負けらしい。トレーニングでカラダの形の変え方を知った彼らは、自分自身のカラダの使い方を理解し、アスリートレベルまで能力を引き上げたいと考えるようだ。

そこでケビンが今回満を持して発表したのが 『GOLF PROGRAM 【3D】』だ。

全6回のコンパクトなプログラムだが、誰でも受講できるというわけではない。実に限られた人にしか提供されていない。
ケビンが提案する別のプログラムに『“ATHLETE BODY MAKE” PROGRAM』というアスリート向けにつくったトレーニングを一般の方へ提供する上級者向けのプログラムがある。この「アスリートボディを目指す」、つまりはカラダの使い方に特化したトレーニングを受講した方に参加の権利があるというのだ。

ここで少し『GOLF PROGRAM 【3D】』について解説しよう。

プログラムの名称に【3D】という言葉がついているように、ゴルフにおける動きを3Dにて動作分析することで基準値と自分との差を明確にし、取り組むべきトレーニングのチョイスに役立てることが目的だ。 





Trackmanという、ボールの弾道からカラダの使い方を逆算する解析方法が主流のゴルフトレーニングも、より深いカラダの使い方までは明確にならない。もしかすると、器用に帳尻を合わせただけのことかもしれない。マックスの能力を表現するためには、やはり動きそのものを解析することが、より正確に理解することになるのであろう。

まずはスイング時の重要なポイントとして、「X-Factor」と「Impact」が存在する。「X-Factor」とは、肩と腰の捻転差(角度)を指す。例えばアドレス時から肩が100度回転し、腰が60度回転していれば、X-Factorは100-60=40となる。この差が大きいほどカラダに捻りが加っていると言える。当然、カラダが生み出すパワーも強いため飛距離も出やすい。その角度を測定するのはアドレス時、Half Way back、Three Quarter、Top of swing、Down swingと5つあり、それぞれPGAの数値を基準に自身の現状を確認し、その部分に必要なエクササイズをプログラムでは提案される。

もう一つは「Impact」だ。これは、カラダが生み出したパワーがボールに当たる瞬間のことを言う。Down swing時に右脚のローテーションが始まり、Impact直前に左足の地面を蹴ることで床反力を生み出す。この床反力を利用するタイミングで捻じれていた上半身が一気に解き放たれ、ため込んだパワーがボールに伝わる。一連の動きがそれぞれ可視化、数値化されるので、得意不得意が明確になり、なすべきトレーニングも同時に確認できる。





そこで、Trackmanの測定値をPGAの選手と比べてみた。Swingスピードの差分をある一般男性と比較してみると、その差は実に4m/secほど。「何だ、そんなに差はないな」と私は心の中で思った。それを察するかのように「今、そんなに変わんないじゃないか。と思ったでしょう?」とケビンがいう。しかし、この二人のswingをコマ送りにして見せてもらったところ、驚いたことに一般男性がクラブを振り上げてTOPのポジションに来たとき、PGAの選手は打ち終わりを迎えていた。つまりゴルフで言うswingスピードは1m/sec違うと、子供と大人ほどの差にまで感じるレベルだということを知った。

解析にこだわり数値化すると、そういった数字のマジック的なことに陥ることも、また一つ気を付けたいポイントだと思う。しかし、インナーという名の筋肉を使えるようになること(つまりインナーを鍛えること)を実践すると、動きが見違えるほどシャープになり、これまでの動作が7割ほどの能力で完了することに気が付く。余裕を持った実力は我々に備わっている潜在能力を掘り起こしてくれるのだ。

世の中は質にこだわる時代。トレーニングも徹底して質にこだわることで、本来の形が見え、想像をはるかに超える肉体をつくり上げることができるのだろう。





2024年パリオリンピックでの2連覇に向けて日々トレーニングに励んでいる志土地真優選手(ジェイテクト所属、旧姓:向田)。彼女のトレーナー、ケビン山崎との特別対談が行われた。 

志土地選手はこれまでも他の記事で紹介してきた女子レスリング53㎏級の世界王者。東京オリンピック2020では見事金メダルを獲得した。ケビン山崎とは東京オリンピックの後からトレーニングを開始している。

そんな志土地選手にはじめてケビンとあった時の印象を聞いてみた。




志土地選手:初めてお会いしたのは、大学生の時でした。ものすごく怖そうな印象でした。

ケビン:よく言われるんだよね(笑)

志土地選手:人見知りなので言われたことを「はい」とやるのみ

ケビン:「はい」とも言わないから無視されてるのかと思ってたよ 笑




志土地選手:今は、ダメな部分はダメと言ってくれ、細かく教えてくれる。自分は新しい技を習得するのにも時間がかかるタイプですが、それをしつこくやることで、得意技になったりする。そういう経験があるので、できなくてもしつこく教えてくれるというのがありがたいです。




ケビン:進化されるからですよ! 僕は、初めて志土地選手の試合を東京五輪の映像でみた時、ココロがつよいなぁと思った。スピードよりも、上手に力をつかっているタイプの選手に見えた。うまくマネジメントするというより、強引に持っていくというか。
始めてトレーニングをした時も、決して上手じゃなくて、でも自分に必要と思ったら習得するために一生懸命に取り組む。そんな人だと理解しましたよ。そして徐々に自分のものにしていった今では、前向きの走りは本当によくなった。後ろ向きの走りにも挑戦していて、ああいうのが上手になればなるほど、彼女のポテンシャルにココロも加わってすごいことになるだろうなと思ってる。

志土地選手:やはり、25歳とか、ある程度の年齢になると自分の好きなトレーニングをしたり、今までの貯金と、怪我しないカラダづくりがメインになるので、この年齢から更に上にあげるというやり方をしている人はあまりいないと思います。そしてこの年齢からでも上がる、というのが実感できているので、すごく嬉しい。

ケビン:12月から始まるパリオリンピック出場をかけての試合では、今出来なくて課題になっているトレーニングをクリアしていってほしい。出した力をもらって、たして次にいく!というのをもっと上手になってほしい。止まっちゃうんだよね。だからもっとンンン~ッてして!ためてためてためて、あがって行ってほしい。左右前後、できるようにして360度カバーしてほしい。相手の力をもらって、いけるようになるしね。
そういうのをレスリングの練習でも感じてもらえると嬉しいよね。

志土地選手:そうですね。やはり、バックペダルとかやらせてもらっているけれど、自分が苦手、という部分をつたえるとそれに対するトレーニングをやってくださるのでありがたいです。頑張ります。




はじめて向き合って対談という形でインタビューをした二人にとって、互いの印象や今取り組んでいるトレーニング内容など沢山の話を聞くことができた。

東京オリンピックで王者になってからのプレッシャーよりもそれまでのプレッシャーの方がつらかったという志土地選手。今では大学院で心理学を学び自分の選手としてのメンタルを整える事にもうまく役立てているのだろう。パリオリンピックもまた挑戦者の気持ちで臨みたいという彼女の影には、勝利への確信をトレーニングを通して与え続けるケビン山崎の姿があった。


2022年10月11日

アスリートのサポート

いつまでも「次の試合」があるわけではない。
一般的な就業期間よりも短く満了を迎えるのがアスリートである。

年齢的な規定があるわけでもなく、自分の意思でその卒業すべき日を決める。それは我々が想像するより遥かに難しい決断なのだろうと推測できる。好きで始めた競技でも、親や友人の影響で始めたスポーツでも、きっかけは何であれ、職業としてそれを選んだときから「引退」という日に向かって進んで行く。

ケビン山崎が日本へ来たのは、元プロ野球選手 清原和博氏のパーソナル・トレーナーとして、より一層専念するためだった。そして、ケビンが迎えた第一号の「引退」は清原氏の引退となった(2008年)。あれから、何人かのアスリートの引退を見送ってきたケビンは、彼らのこれからにも携わっていきたいと都度思うらしい。先日の元小結 千代鳳の引退も例外ではない。



令和3年11月場所を最後に土俵から降りた千代鳳。2015年からケビンとトレーニングをし、度重なる怪我にも屈せず、突き押しを得意技として闘い続けた。生涯戦歴430勝363敗104休(80場所)という成績を残した千代鳳は常にどこかを痛めており、ケビンからカラダの使い方についてトレーニング指導を受けていた。6年間のトレーニングでどんなやり取りがあったのか?我々には知る余地もないが、断髪式にて髷にはさみを入れるその瞬間、二人の特別な会話がその関係性を物語っていたように思う。



佐ノ山親方としてこれからの人生、後世の指導に力を注ぐことを決断した千代鳳。
その決断をケビンも同じ指導者チームとして温かく見守り、そして仲間としてお互いを高め合う存在になっていくことだろう。



トレーニングのカテゴリー分けは、主にその結果に紐づくもので決まる。
『神経系トレーニング』 とは、まさに神経の開通をすることで、これまでよりも動きの良い自分自身になることを目的とした場合に用いられるトレーニングだ。

これまでの記事にも何度か記載してきたが、ケビン山﨑が定義する『神経系トレーニング』とは、2つ以上の筋肉を順番に使う能力の向上で、いわゆる筋肉の連動をよりスムーズにすることが目的だ。
通常は、アスリートの競技能力向上に用いられることが多いこのトレーニングだが、一般の人が健康や美しいカラダを手に入れるために行うフィットネスにも大いに役立つとケビンは以前から確信を持っていた。現に「一般の人は強度の低いアスリートである」と言葉をつくったほどだ。
ケビン山﨑が創設者であるトレーニング・ジム【トータル・ワークアウト】も、アスリートが取り組んだトレーニングをケビンがフィットネス用にカスタマイズしたものを20年以上実施し続けており、それが何よりの証拠だ。
ここにきて「神経系トレーニング」のフィットネス応用が加速し、多くのクライアントが成果を上げている。

「神経系」を良くすることは、筋肉の連動を良くするということ。我々の日常において最も強度の高い筋肉の連動運動はダッシュ(走る)だという。もし仮にダッシュを通して筋肉の連動を意識的に向上できたとしたら、他の動きはすべて楽になるだろうし、日常生活がより簡単になることは想像がつく。ケビンはそこに着目したのだ。
また、ほとんどの人はダッシュ(走る)という運動自体を経験済みというのも狙い目だった。これまで開通したことのある神経系を呼び戻すことにチャレンジする。

ケビンは面白い実験を実施した。当初【トータル・ワークアウト】が日本に上陸したときから一つの売りになっているのが『3週間でカラダを変える』という肉体改造のプログラムだ。これは、ウエイト・トレーニングと食生活のコントロールで高い評価を得てきた。それと同等の結果を『神経系トレーニング(ダッシュ)』だけで実施するというのだ。体験してくれたクライアントは、年齢、性別問わず、これまでウエイト・トレーニングをしてきたクライアントたちだ。
今回はスーパー・トレッドミルという高速トレッドミルを使い、筋肉の連動を最大限意識し1回30分、それを週に2回実施した。その結果が下記である。

体重 -2.62Kg
体脂肪率 -2.26%
腕裏 -2.2㎜
腕表 -1.3㎜
肩下 -2.2㎜
腹部 -4.1㎜
腹囲 -6.5㎝
大腿 -2.2㎝
*2022年6月30日現在

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この通り、より短時間で大きな効果を得られることを証明した。
そして、忘れてはいけないことは、筋肉を増やしたり脂肪を減らすことに直接アプローチしたトレーニングは一切行わず、神経系を良くすることだけ実施した結果であることだ。

これからカラダを変えたいと思っている人も、これまでやってきたトレーニングに限界を感じている人も、逸早くトライしてもらいたいトレーニング方法に出会った気がする。








フィットネスの歴史は古く、1950年のアメリカ大統領諮問委員会によるフィットネスの定義では、「日々の作業を効率的に行い、しかもレジャーを楽しみ、予期せぬ緊急事態に対して十分適応できるだけのエネルギーを残しておける能力」と記されたのがスタートだ。
それ以来、自分自身の快適な生活のために運動をはじめとするフィットネスに多くの人が取り組んできた。
日本では1960年の東京オリンピック後から本格的にフィットネスという文化が確立されるようになり、現在に至るまで多くの研究がされてきたが、ケビン山崎もその研究をしてきた一人だ。 

ケビンはトレーニングが職業の一部として必要とするスポーツ選手などを中心に、その人たちが手にするべきカラダをゴールに、そこまでの距離を最短で到達させ、得られる結果も最大化することを常に目指してきた。
ただ単に筋肉の量を増やすとか、脂肪の量を減らすなどといったことではなく、持ち合わせている自分自身の能力を最大限活用する「カラダの動き」に着目してきた。

2010年後半、トレーニングの先進国アメリカにおいて、アスリートのトレーニングに多くの計測が用いられるようになり、それまで明確ではなかった「カラダの使い方」というものが数値化、可視化されるようになった。
これは結果を出すまでの距離を縮めることは勿論、インナーマッスルに対して、多くの研究者たちが興味を持つきっかけとなったのだ。

あるとき、インナーマッスル(深部に存在する筋肉)が最終的に「動作」に繋がるプロセスをケビンはメソッド化し、スポーツ選手のトレーニングに導入することに成功した。
動作を分析し、その構成を理解する。
そうするとスランプに陥った際、ダメなポイントを明確にできる。そのポイントを改善することで、スランプからの脱出は容易となる。さらなる向上のため、弱点や強みを知ることへも繋がる。
まずインナーにある筋肉を始動させ、それに誘導されるように動くアウターマッスルの連動性を学ぶことから取り組む。その結果、発揮できるパフォーマンスは格段に上がり、彼ら選手にとっての目的を成し遂げられるというわけだ。

これはスポーツ選手だけにとどまらず、我々一般人にとっても同様の見解を持つことができる。
動けるカラダはすなわちインナーマッスルからアウターマッスルへの力の連動を良くするトレーニングに取り組むこと。その手法は「捻り・捻じれ」にある。
カラダを捻るという動作は必ずインナーマッスルが始動して働き、それに誘導されてアウターマッスルが動く。引き込む力が強ければ強い程、ほどけるスピードも速くなるようなことをイメージすると分かりやすいだろう。

ケビン山崎が考案したこの「Athlete Body Make Program(ABPM)」は、まさに「捻り」「捻じること」に特化したプログラムだ。
捻じれから生じる出力はバッティングに代表されるように、中心部のひきつけが強くなることで、打ったボールの打撃スピードが向上し、コンタクトポイントも強くなる。
野球をしている、していないにかかわらず、ヒッティングという動作を通じて、この「捻り」「捻じれ」の機能を良くすることがアスリートのカラダへ近づく手段であり、動けるカラダを手にすることもできるのだ。

2021年からの1年間で、多くの一般のお客様がこのプログラムを受講したという。
受講者からは「動きが機敏に、そしてしなやかになった」「カラダの使い方に対する理解を深めることができた」といった感想が寄せられ、それと同時に、長年悩まされていた肩こりや腰痛などから解放されたらしい。
そして「頭をフル回転させ、カラダの使い方を考えながら動かす」という体験に感動されていたのが最も印象的だった。






2022年6月19日、それはケビン山崎にとっては特別な日だった。ケビンが5年の歳月をかけてトレーニングを担当してきたK-1ファイター武尊選手が那須川天心選手と闘った世紀の大一戦があった日だ。

そして、時同じくして、東京オリンピックレスリング女子フリースタイル53kg級金メダリスト 志土地(向田)真優選手(現在55㎏級、所属:ジェイテクト)もオリンピックレースがこの日始まった。

選手を支える立場として彼は、どんな気持ちでその時を迎えたのだろう?

「勝ち負けだけではなく、これまでやってきたことの答え合わせになる瞬間だから、人一倍緊張する」というケビン。
そして、こうも言っていた。「選手を一番遠くに感じる日でもある。」と。
なぜなら、試合中は選手の姿をただただ、外から見るだけ。それしかできないから。

今回もそうだった、朝から立て続けに試合があった志土地選手。一つ一つの試合を勝ち続け、優勝の座につく。
そこで終わりではなく、世界大会に出場する枠をかけて最後の最後にもう1試合プレーオフがある。
一瞬の気も抜けないまま時間が過ぎる。怪我や調子がでなかった時の彼女を支えてきた一人でもあるケビンは、一試合一試合、丁寧に答え合わせをしていた。志土地選手の強さは安定しており、激戦を全て勝利で勝ち取るという驚異的な成績で締めくくれた。その時のケビンの安堵感は我々が到底想像できるものではない。





そして次は、武尊選手。

勝って欲しい気持ち。極限の精神状態から解放してあげたい気持ち。そんな複雑な思いを胸に、取り組んできたことへの答え合わせが始まる。



選手にとって一番苦しいのは試合中ではなく、それまでのトレーニングを含む準備期間だという。その期間を一緒に背負えるのがパーソナル・トレーナーでもある。勿論実働は選手がするわけで、パンチやキック、タックルに至るまで、トレーナーが同じことをするというのとは意味が違うが、「もっとこうなりたい」「ここを改善したい」を形にすることで、選手の一番近くにいて、解決方法を提案することができる唯一の存在でもあるからだ。

その提案が正しかったのか? ひとつひとつを答え合わせするのは、二つの理由がある。
一つは、これからの彼ら選手にとっての「進化」に責任を持つため。そしてもう一つは、結果が残せなかった時、責任を振り分けてもらい、彼らの心の負担を軽減するためだ。

パーソナル・トレーナーを目指す若者たちは、いつかトップアスリートのトレーニングに携わりたい。そう思う人も多いだろう。憧れはその氷山の一角である華やかな部分に目が行きがちだが、本質はどれだけ選手と一緒にその時を耐え、前進できるか、ということなのかもしれない。
一流のトレーナーの影の姿を見てそんな風に感じた。

「パーソナル・トレーナー」 今では多くの人がその存在を知っている。
理想の体型や健康を手に入れるために、最も効率よくトレーニングするための方法をその存在に委ねる。

しかし、日本におけるその歴史はまだ20数年… パーソナル・トレーナーという存在を確固たるものにしたのは、まぎれもなく「ケビン山崎」だろう。

「パーソナル・トレーナー」という職業は、医師や弁護士のように特定の資格が必要なわけではないが、確実に必要とされるものがある。それは「経験」だ。
どれだけ多くの人のカラダを変え、そしてそれを継続してきたか、数と年数がポイントとなる。

人のカラダは100人いれば100通り存在し、トレーニングと呼ばれるものも少しのアレンジでオリジナルになる。要はメソッド化することが非常に困難なものだ。だからこそ、目の前にいる顧客の過去をいかに理解し、現在を意識し、未来へつなげられるか、という創造力が必要となる。そのためには自身の経験が大きなポイントとなり、ふんだんにその能力を使って顧客の「やる気」を出さなければならない。

36年間寝ても覚めても「パーソナル・トレーナー」としての日々を考え抜いてきたケビン山崎も、今年で71歳になる。見た目だけではなく、カラダの中や思考回路に至るまで、現在の彼そのものが「筋肉」と共に形成されてきた。

自身のメソッドで多くの顧客と直接交わり、そして「パーソナル・トレーナー」の育成にも携わってきた彼が、今改めて思うことを一冊の本にまとめたのが、「MUSCLE BIBLE 筋肉伝道師の最終解答」(幻冬舎)だ。
今も昔も変わらない「筋肉」という重要な存在がもたらすことが記載されている。一方で、ケビンがこの職業を選んだ理由に紐づくその内容を知ることで、読んだ人も改めて自分自身の生き方、そして筋肉について考えさせられるのではないだろうか?

軸をぶらさず、進化し続けてきたケビン山崎だからこそ語れる「最終解答」。
ぜひ、読んで今のあなたのカラダとココロの答え合わせをしてみて欲しい。



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気休めや思い込みだけでトレーニングをして、やらないよりはやった方が少しは自分のためになる。そう思いながらトレーニングに取り組んでいる人がいるのなら、、私は声を大にして言いたい。
「ぜひ一度、ケビン山崎のトレーニングを受講してみてほしい」と。。
大人になって、何か新しいことを発見するような機会があまりにも少なくなったことに気づくだけでなく、自分の可能性の大きさを知ることができるからだ。

ケビン山崎の新メソッドがプログラム化された「Athlete Body Make Program(ABMP)」は、一般の人でもプロアスリートのトレーニングが体験できる内容になっている。
これまで「くせ」だと思っていたことや、「できている」と思っていたカラダの各部位への意識が180度違っていたことを知るだけでなく、「なぜプロアスリートがそこまでトレーニングと真剣に向き合うのか」を感じ取ることができるのが特徴だ。

プログラムが公開されたのは2021年。公開されてから最も早い段階でこのプログラムを受講された男性のお客様に、今回はその内容を振り返ってもらった。

彼はアマチュアながらもゴルフの腕前はプロ並みで、多忙な中でも週2回のトレーニングを欠かさず、健康や美しいカラダを目指すことは勿論、ゴルフにおけるパフォーマンスの向上も目的として質の高いフィットネスライフを送っていた。その彼がケビン山崎とトレーニングしたいと思った理由は、ゴルフにおけるパフォーマンスを磨きたいことと、その分野の一流に触れてみたかったからだと言う。
全9回、1回2時間半のプログラムを終え、生まれ変わった下半身の動きをうまく上半身へつなげるため、4回の追加プログラムを実施した。
その結果、非常にシャープでカッコよいゴルフスウィングを習得し、ドライバーの飛距離アップ、重心の安定したミート率アップ、体幹部への意識向上、そして大きな副産物として、ウエイト・トレーニングでの重量もアップしたという。

勿論、楽々とこれらの能力を手にしたわけではなく、プログラム期間中の大半が苦戦続きだった。
その中でも、股関節に重心を乗せるということには手を焼いた。本人的には、今までもこの部分にはひと際意識を傾けており、その動きを実践していたという。しかし、それは本来の『重心を乗せる』こととはかけ離れていた。自分ができていると思っていたことが実は違っていて、それを修復するには相当な時間を要するし、ある意味センスも問われるだろう。大の大人がこんな小さなことに長い練習時間を費やす。ミリ単位でこだわるケビンに対し、焦る気持ちと葛藤が続いた。






アシスタントについていたトータル・ワークアウトの倉品トレーナーは、そのころを振り返り印象に残ったことを語ってくれた。
「“Power = インナーマッスル × アウターマッスル”という定義のもと、不随意筋として作用するインナーマッスルは、随意筋であるアウターマッスルで環境をつくらないと作用しない。いくら筋力が強くても、その環境が作れないとインナーマッスルは上手に作用しない。それを熱心に伝えるケビンの姿が印象的だった」と。
そして、たとえ選手でなくても、選手と何一つ変えることなく、同じ熱量でトレーニングに臨んでいたケビンから、クライアントへの物事の伝え方を学んだと教えてくれた。一つの動作、種目を多角的に見ていくことが重要で、その修正方法はより明確となって階層分けされていく。アシスタントで学んだトレーナーとしてのスキルは、日頃の自身のセッションにも活かすことを忘れず、伝え方を階層分けし、細かく伝えることを意識しているそうだ。その結果、クライアントの理解度が向上し、コミュニケーションが円滑になる。そうすると、目的のカラダ、目的までの期間を短く設定できるようになる。お客様はケビンのトレーニングを受講することで、必ず新しい発見とトレーニングに対するモチベーションが上がると確信していた。

カラダの使い方を学ぶということは、これまでの自分自身を知り、正しく整え、そこからスタートして様々な課題に取り組むということ。そのために乗り越えるべき高いハードルがあることも理解できる。そして、新しい発見を得たときには、これまでよりも明らかにグレードアップした自分になるのだろう。









日本ハムファイターズを自由契約となっていた金子千尋投手が、2022年12月23日、現役引退を表明。
来季からは日本ハムファイターズの特命コーチに就任。半年間は米国レンジャーズへコーチ留学を予定している。
「動作解析など最先端の技術を取り入れたトレーニングやコーチングなどをアメリカで勉強したい」と意気込む金子千尋氏について、2018年からトレーニングを共にしたケビン山崎に聞いてみた。

「彼を一言で表すと、欲しいものを明確に解っている人。5年前、シアトルにあるDRIVELINEに一緒に行ったんだけど、そこで提案されたエクササイズのコンテンツを一度体験すると、次の日には自分なりのアレンジをもって、自分自身に役立つ形に変えちゃったりする。物静かな人だからその時には何も言わないんだけど、必ず必要なものをチョイスしてアレンジして、モノにしちゃう。こちらがそれを指摘したり質問したりするとやっと答えてくれる。そんなクールな中に情熱的な向上心を持つ投手だと思う」と教えてくれた。





それは、今後の抱負を語る金子氏の言葉にも垣間見られるものだった。
「僕が現役中にやっていたから『これをやれ』みたいな、根拠がない指導はしないようにしたい。『この選手はこうすれば伸びる』『この選手はここを直せばもっと良くなる』と個性をしっかり評価できる、まずは選手を見る目を付けたいと思っています」
「良いところをどんどん伸ばし、スケールの大きな選手を一人でも多く育てたい」と金子新コーチにおける理想を語ってくれた。

金子千尋投手は多彩な球種を扱い、完成されたフォームからパーフェクトな制球力を誇る選手だった。そのピッチング技術、考え方は多くの野球選手の憧れとなり、チームメートにおける信頼も厚い。
平均球速役144Km/h、最速154Km/hのストレート、縦のカーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップ、スプリットフィンガード・ファストボール、パワーシンカー、ワンシームを投げ分ける。四球が少なく与四球率は2018年までの通算で2.09と優秀な数値を記録。オリックス時代には2008年から3年連続1個台。





トータル・ワークアウトではケビン山崎と2018年11月からトレーニングを共にし、翌月12月にはケビンプロデュースのもと、トレーニングの本場であるアメリカシアトルのDRIVELINE BASEBALLにてプログラムを実施した。
最先端のトレーニング研究機関であるSports Performance Lab.にて開発されたトレーニングでは、Redcordを活用したAthlete Tuning Method(ATM)®︎を中心としたプログラムを実施していた。ここでも冒頭にケビンが述べていたように、提案されたトレーニングを自分なりにアレンジし、確実なものとする金子投手がいたようだ。





人生の第二幕が始まる金子氏と、選手を介して時間を共有していきたいと思うケビンのトレーニングにおける化学反応に期待したい。



【金子千尋氏|主な経歴】
長野商高、トヨタ自動車を経て、2004年のドラフト自由枠でオリックスに入団。多彩な変化球を操り、4年目の2008年から先発ローテーションの柱として活躍。同年から4年連続2ケタ勝利をマーク。
2010年は17勝で最多賞のタイトルを獲得。2013年はシーズン無敗で24勝を挙げた田中を抑え、最多奪三振(200K)のタイトルを獲得。2014年も16勝5敗、防御率1.98、199奪三振の好成績、2度目の最多賞、初の最優秀防御率賞を獲得。リーグMVPと球団初となる沢村賞にも輝いた。
故障が増えた2015年以降は成績を落としたが、オリックスでの14年間で計120勝をマーク。
日本ハムでの4シーズンは計10勝に終わったものの、移籍初年度の2019年は8勝7敗、防御率3.04と活躍。
通算成績は387試合(281先発、106救援)で130勝94敗5セーブ、防御率3.08。

長野県長野商業高等学校
トヨタ自動車
オリックス・バファローズ (2005 – 2018)
北海道日本ハムファイターズ (2019 – 2022)





今でこそ当然のように、『トレーニング』 や 『ジム』 『パーソナル・トレーニング』という言葉が飛び交う日常。
しかし、20年前の日本にそんな日が来ると誰が想像していただろう。
健康であるためには適度な運動が必要であることや、ダイエットは食生活の改善だけに頼らず、カラダを動かした方が効果的であることは知られていたが、「なりたいカラダ」になるためのメソッドを探し求める人は皆無に近かった。

そんな日本のフィットネスを変えたのが「ケビン山崎」だろう。ケビンはこれまでの記事にも述べてきたように、アメリカから『パーソナル・トレーニング』を日本に持ってきた第一人者だ。
そのケビンが昔も今も変わらず提唱し続けているメソッドが『TOTAL Workout』だ。




そもそも、『TOTAL Workout』という名前の由来は何なのだろう?ケビンに聞いてみた。
アメリカ時代、ジムで働いた営業後にスクワットを行っていると、トレーナー同士が自然と「Can I Join?」と集まってくる。それはある意味競争であり、職業のために行う研究でもあり、真剣なメンバーが集まって何やら情熱の交換をする。でも、緊張感漂うようなギスギス感はない。

そんな感じがWorkoutだと言う。Work inといったら対象が一人。Work outというのは広がった意味合いを持ち、みんなで真剣に行うという意味になる。そんな環境で生まれるProgramの名前が『TOTAL Workout』だった。
「みんなライバルだけど、そんなのは関係ない。みんなとの心地良いトレーニングの時間が自分自身をより活性させ、結果につながる」とケビンは言う。





ここからは当時の『TOTAL Workout』というプログラムの中身に触れてみたい。
まずはプログラムとしての期間について。やる気がマックスになったとき、人は最も結果を残すことができるらしく、その「やる気」を損なわないような期間、満足のいく過程、納得できる結果・・・カラダを変えるために必要な要素を片っ端から並べたケビンは、ある「期間」の設定を見出した。それが 『3週間』だった。

3週間は、人間が頑張り抜くギリギリの期間であり、人間が順応する最短の期間でもある。ケビンはアメリカでこの3週間をプログラム化し、パーソナル・トレーナーとして活躍していた。
当初の彼のプログラムは週6日トレーニング、週1日オフで3週間。最初の2日は15RMのendurance、次の2日間は10RMでhypertrophy、次の2日は5RMでPower。それを3週間。2週間を過ぎると、人間は飽きてしまう。どこか痛かったり、しんどかったり、クライアント側はやめたくなってくるが、一生懸命行っているのでやめたいとは言えない。
そしてやり切った後に得た大きな成果と共に、また定期的にこの過酷な3週間にトライしたいと思わせることがトレーナーとしての実力となる。トレーナーは、数ヶ月後に進化したものを提供して、絶えずちょっとずつ変化させ、お客様も進化させることで、飽きさせないようにする。選手の場合は、得たい能力も決まってくるので、同じことを行うことも多い。ただ、その分を開発して、引き出しを増やしてさらに追い込むことが必要である。

今のトータル・ワークアウトで会員の皆様へ提供しているのは、そこまで強度の強いものではないが、多くの人のカラダを変え続けてきたエビデンスを元に、もっとも効率よく効果的なトレーニングを同じく3週間という期間で行っている。
時代は変わり、一般の人が自分自身の「なりたいカラダ」を明確に持つようになり、日常を豊かにするために、それを手にしたいと強く思うようになった。合理的でかつ現実的なトレーニングを提供することで、『元祖TOTAL Workout Program』の重要な部分が多くの人に伝わることを願いたい。





2022年11月30日

GOLF PROGRAM 【3D】

トレーニングをする目的は、人それぞれ…。
痩せたい人、筋肉をつけてメリハリあるカラダを手に入れたい人、健康になりたい人、運動不足を解消したい人などが代表的。そして中には、パフォーマンスを向上したいという人も少なくはない。

ケビン山崎が設立したトータル・ワークアウトは2022年11月現在、会員の6割が男性、4割が女性で、共に平均年齢は44.8才だという。その年齢層の男女はゴルフを趣味にしている人も多く、力の入れようはプロ顔負けらしい。トレーニングでカラダの形の変え方を知った彼らは、自分自身のカラダの使い方を理解し、アスリートレベルまで能力を引き上げたいと考えるようだ。

そこでケビンが今回満を持して発表したのが 『GOLF PROGRAM 【3D】』だ。

全6回のコンパクトなプログラムだが、誰でも受講できるというわけではない。実に限られた人にしか提供されていない。
ケビンが提案する別のプログラムに『“ATHLETE BODY MAKE” PROGRAM』というアスリート向けにつくったトレーニングを一般の方へ提供する上級者向けのプログラムがある。この「アスリートボディを目指す」、つまりはカラダの使い方に特化したトレーニングを受講した方に参加の権利があるというのだ。

ここで少し『GOLF PROGRAM 【3D】』について解説しよう。

プログラムの名称に【3D】という言葉がついているように、ゴルフにおける動きを3Dにて動作分析することで基準値と自分との差を明確にし、取り組むべきトレーニングのチョイスに役立てることが目的だ。 





Trackmanという、ボールの弾道からカラダの使い方を逆算する解析方法が主流のゴルフトレーニングも、より深いカラダの使い方までは明確にならない。もしかすると、器用に帳尻を合わせただけのことかもしれない。マックスの能力を表現するためには、やはり動きそのものを解析することが、より正確に理解することになるのであろう。

まずはスイング時の重要なポイントとして、「X-Factor」と「Impact」が存在する。「X-Factor」とは、肩と腰の捻転差(角度)を指す。例えばアドレス時から肩が100度回転し、腰が60度回転していれば、X-Factorは100-60=40となる。この差が大きいほどカラダに捻りが加っていると言える。当然、カラダが生み出すパワーも強いため飛距離も出やすい。その角度を測定するのはアドレス時、Half Way back、Three Quarter、Top of swing、Down swingと5つあり、それぞれPGAの数値を基準に自身の現状を確認し、その部分に必要なエクササイズをプログラムでは提案される。

もう一つは「Impact」だ。これは、カラダが生み出したパワーがボールに当たる瞬間のことを言う。Down swing時に右脚のローテーションが始まり、Impact直前に左足の地面を蹴ることで床反力を生み出す。この床反力を利用するタイミングで捻じれていた上半身が一気に解き放たれ、ため込んだパワーがボールに伝わる。一連の動きがそれぞれ可視化、数値化されるので、得意不得意が明確になり、なすべきトレーニングも同時に確認できる。





そこで、Trackmanの測定値をPGAの選手と比べてみた。Swingスピードの差分をある一般男性と比較してみると、その差は実に4m/secほど。「何だ、そんなに差はないな」と私は心の中で思った。それを察するかのように「今、そんなに変わんないじゃないか。と思ったでしょう?」とケビンがいう。しかし、この二人のswingをコマ送りにして見せてもらったところ、驚いたことに一般男性がクラブを振り上げてTOPのポジションに来たとき、PGAの選手は打ち終わりを迎えていた。つまりゴルフで言うswingスピードは1m/sec違うと、子供と大人ほどの差にまで感じるレベルだということを知った。

解析にこだわり数値化すると、そういった数字のマジック的なことに陥ることも、また一つ気を付けたいポイントだと思う。しかし、インナーという名の筋肉を使えるようになること(つまりインナーを鍛えること)を実践すると、動きが見違えるほどシャープになり、これまでの動作が7割ほどの能力で完了することに気が付く。余裕を持った実力は我々に備わっている潜在能力を掘り起こしてくれるのだ。

世の中は質にこだわる時代。トレーニングも徹底して質にこだわることで、本来の形が見え、想像をはるかに超える肉体をつくり上げることができるのだろう。





2024年パリオリンピックでの2連覇に向けて日々トレーニングに励んでいる志土地真優選手(ジェイテクト所属、旧姓:向田)。彼女のトレーナー、ケビン山崎との特別対談が行われた。 

志土地選手はこれまでも他の記事で紹介してきた女子レスリング53㎏級の世界王者。東京オリンピック2020では見事金メダルを獲得した。ケビン山崎とは東京オリンピックの後からトレーニングを開始している。

そんな志土地選手にはじめてケビンとあった時の印象を聞いてみた。




志土地選手:初めてお会いしたのは、大学生の時でした。ものすごく怖そうな印象でした。

ケビン:よく言われるんだよね(笑)

志土地選手:人見知りなので言われたことを「はい」とやるのみ

ケビン:「はい」とも言わないから無視されてるのかと思ってたよ 笑




志土地選手:今は、ダメな部分はダメと言ってくれ、細かく教えてくれる。自分は新しい技を習得するのにも時間がかかるタイプですが、それをしつこくやることで、得意技になったりする。そういう経験があるので、できなくてもしつこく教えてくれるというのがありがたいです。




ケビン:進化されるからですよ! 僕は、初めて志土地選手の試合を東京五輪の映像でみた時、ココロがつよいなぁと思った。スピードよりも、上手に力をつかっているタイプの選手に見えた。うまくマネジメントするというより、強引に持っていくというか。
始めてトレーニングをした時も、決して上手じゃなくて、でも自分に必要と思ったら習得するために一生懸命に取り組む。そんな人だと理解しましたよ。そして徐々に自分のものにしていった今では、前向きの走りは本当によくなった。後ろ向きの走りにも挑戦していて、ああいうのが上手になればなるほど、彼女のポテンシャルにココロも加わってすごいことになるだろうなと思ってる。

志土地選手:やはり、25歳とか、ある程度の年齢になると自分の好きなトレーニングをしたり、今までの貯金と、怪我しないカラダづくりがメインになるので、この年齢から更に上にあげるというやり方をしている人はあまりいないと思います。そしてこの年齢からでも上がる、というのが実感できているので、すごく嬉しい。

ケビン:12月から始まるパリオリンピック出場をかけての試合では、今出来なくて課題になっているトレーニングをクリアしていってほしい。出した力をもらって、たして次にいく!というのをもっと上手になってほしい。止まっちゃうんだよね。だからもっとンンン~ッてして!ためてためてためて、あがって行ってほしい。左右前後、できるようにして360度カバーしてほしい。相手の力をもらって、いけるようになるしね。
そういうのをレスリングの練習でも感じてもらえると嬉しいよね。

志土地選手:そうですね。やはり、バックペダルとかやらせてもらっているけれど、自分が苦手、という部分をつたえるとそれに対するトレーニングをやってくださるのでありがたいです。頑張ります。




はじめて向き合って対談という形でインタビューをした二人にとって、互いの印象や今取り組んでいるトレーニング内容など沢山の話を聞くことができた。

東京オリンピックで王者になってからのプレッシャーよりもそれまでのプレッシャーの方がつらかったという志土地選手。今では大学院で心理学を学び自分の選手としてのメンタルを整える事にもうまく役立てているのだろう。パリオリンピックもまた挑戦者の気持ちで臨みたいという彼女の影には、勝利への確信をトレーニングを通して与え続けるケビン山崎の姿があった。


2022年10月11日

アスリートのサポート

いつまでも「次の試合」があるわけではない。
一般的な就業期間よりも短く満了を迎えるのがアスリートである。

年齢的な規定があるわけでもなく、自分の意思でその卒業すべき日を決める。それは我々が想像するより遥かに難しい決断なのだろうと推測できる。好きで始めた競技でも、親や友人の影響で始めたスポーツでも、きっかけは何であれ、職業としてそれを選んだときから「引退」という日に向かって進んで行く。

ケビン山崎が日本へ来たのは、元プロ野球選手 清原和博氏のパーソナル・トレーナーとして、より一層専念するためだった。そして、ケビンが迎えた第一号の「引退」は清原氏の引退となった(2008年)。あれから、何人かのアスリートの引退を見送ってきたケビンは、彼らのこれからにも携わっていきたいと都度思うらしい。先日の元小結 千代鳳の引退も例外ではない。



令和3年11月場所を最後に土俵から降りた千代鳳。2015年からケビンとトレーニングをし、度重なる怪我にも屈せず、突き押しを得意技として闘い続けた。生涯戦歴430勝363敗104休(80場所)という成績を残した千代鳳は常にどこかを痛めており、ケビンからカラダの使い方についてトレーニング指導を受けていた。6年間のトレーニングでどんなやり取りがあったのか?我々には知る余地もないが、断髪式にて髷にはさみを入れるその瞬間、二人の特別な会話がその関係性を物語っていたように思う。



佐ノ山親方としてこれからの人生、後世の指導に力を注ぐことを決断した千代鳳。
その決断をケビンも同じ指導者チームとして温かく見守り、そして仲間としてお互いを高め合う存在になっていくことだろう。



トレーニングのカテゴリー分けは、主にその結果に紐づくもので決まる。
『神経系トレーニング』 とは、まさに神経の開通をすることで、これまでよりも動きの良い自分自身になることを目的とした場合に用いられるトレーニングだ。

これまでの記事にも何度か記載してきたが、ケビン山﨑が定義する『神経系トレーニング』とは、2つ以上の筋肉を順番に使う能力の向上で、いわゆる筋肉の連動をよりスムーズにすることが目的だ。
通常は、アスリートの競技能力向上に用いられることが多いこのトレーニングだが、一般の人が健康や美しいカラダを手に入れるために行うフィットネスにも大いに役立つとケビンは以前から確信を持っていた。現に「一般の人は強度の低いアスリートである」と言葉をつくったほどだ。
ケビン山﨑が創設者であるトレーニング・ジム【トータル・ワークアウト】も、アスリートが取り組んだトレーニングをケビンがフィットネス用にカスタマイズしたものを20年以上実施し続けており、それが何よりの証拠だ。
ここにきて「神経系トレーニング」のフィットネス応用が加速し、多くのクライアントが成果を上げている。

「神経系」を良くすることは、筋肉の連動を良くするということ。我々の日常において最も強度の高い筋肉の連動運動はダッシュ(走る)だという。もし仮にダッシュを通して筋肉の連動を意識的に向上できたとしたら、他の動きはすべて楽になるだろうし、日常生活がより簡単になることは想像がつく。ケビンはそこに着目したのだ。
また、ほとんどの人はダッシュ(走る)という運動自体を経験済みというのも狙い目だった。これまで開通したことのある神経系を呼び戻すことにチャレンジする。

ケビンは面白い実験を実施した。当初【トータル・ワークアウト】が日本に上陸したときから一つの売りになっているのが『3週間でカラダを変える』という肉体改造のプログラムだ。これは、ウエイト・トレーニングと食生活のコントロールで高い評価を得てきた。それと同等の結果を『神経系トレーニング(ダッシュ)』だけで実施するというのだ。体験してくれたクライアントは、年齢、性別問わず、これまでウエイト・トレーニングをしてきたクライアントたちだ。
今回はスーパー・トレッドミルという高速トレッドミルを使い、筋肉の連動を最大限意識し1回30分、それを週に2回実施した。その結果が下記である。

体重 -2.62Kg
体脂肪率 -2.26%
腕裏 -2.2㎜
腕表 -1.3㎜
肩下 -2.2㎜
腹部 -4.1㎜
腹囲 -6.5㎝
大腿 -2.2㎝
*2022年6月30日現在

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この通り、より短時間で大きな効果を得られることを証明した。
そして、忘れてはいけないことは、筋肉を増やしたり脂肪を減らすことに直接アプローチしたトレーニングは一切行わず、神経系を良くすることだけ実施した結果であることだ。

これからカラダを変えたいと思っている人も、これまでやってきたトレーニングに限界を感じている人も、逸早くトライしてもらいたいトレーニング方法に出会った気がする。








フィットネスの歴史は古く、1950年のアメリカ大統領諮問委員会によるフィットネスの定義では、「日々の作業を効率的に行い、しかもレジャーを楽しみ、予期せぬ緊急事態に対して十分適応できるだけのエネルギーを残しておける能力」と記されたのがスタートだ。
それ以来、自分自身の快適な生活のために運動をはじめとするフィットネスに多くの人が取り組んできた。
日本では1960年の東京オリンピック後から本格的にフィットネスという文化が確立されるようになり、現在に至るまで多くの研究がされてきたが、ケビン山崎もその研究をしてきた一人だ。 

ケビンはトレーニングが職業の一部として必要とするスポーツ選手などを中心に、その人たちが手にするべきカラダをゴールに、そこまでの距離を最短で到達させ、得られる結果も最大化することを常に目指してきた。
ただ単に筋肉の量を増やすとか、脂肪の量を減らすなどといったことではなく、持ち合わせている自分自身の能力を最大限活用する「カラダの動き」に着目してきた。

2010年後半、トレーニングの先進国アメリカにおいて、アスリートのトレーニングに多くの計測が用いられるようになり、それまで明確ではなかった「カラダの使い方」というものが数値化、可視化されるようになった。
これは結果を出すまでの距離を縮めることは勿論、インナーマッスルに対して、多くの研究者たちが興味を持つきっかけとなったのだ。

あるとき、インナーマッスル(深部に存在する筋肉)が最終的に「動作」に繋がるプロセスをケビンはメソッド化し、スポーツ選手のトレーニングに導入することに成功した。
動作を分析し、その構成を理解する。
そうするとスランプに陥った際、ダメなポイントを明確にできる。そのポイントを改善することで、スランプからの脱出は容易となる。さらなる向上のため、弱点や強みを知ることへも繋がる。
まずインナーにある筋肉を始動させ、それに誘導されるように動くアウターマッスルの連動性を学ぶことから取り組む。その結果、発揮できるパフォーマンスは格段に上がり、彼ら選手にとっての目的を成し遂げられるというわけだ。

これはスポーツ選手だけにとどまらず、我々一般人にとっても同様の見解を持つことができる。
動けるカラダはすなわちインナーマッスルからアウターマッスルへの力の連動を良くするトレーニングに取り組むこと。その手法は「捻り・捻じれ」にある。
カラダを捻るという動作は必ずインナーマッスルが始動して働き、それに誘導されてアウターマッスルが動く。引き込む力が強ければ強い程、ほどけるスピードも速くなるようなことをイメージすると分かりやすいだろう。

ケビン山崎が考案したこの「Athlete Body Make Program(ABPM)」は、まさに「捻り」「捻じること」に特化したプログラムだ。
捻じれから生じる出力はバッティングに代表されるように、中心部のひきつけが強くなることで、打ったボールの打撃スピードが向上し、コンタクトポイントも強くなる。
野球をしている、していないにかかわらず、ヒッティングという動作を通じて、この「捻り」「捻じれ」の機能を良くすることがアスリートのカラダへ近づく手段であり、動けるカラダを手にすることもできるのだ。

2021年からの1年間で、多くの一般のお客様がこのプログラムを受講したという。
受講者からは「動きが機敏に、そしてしなやかになった」「カラダの使い方に対する理解を深めることができた」といった感想が寄せられ、それと同時に、長年悩まされていた肩こりや腰痛などから解放されたらしい。
そして「頭をフル回転させ、カラダの使い方を考えながら動かす」という体験に感動されていたのが最も印象的だった。






2022年6月19日、それはケビン山崎にとっては特別な日だった。ケビンが5年の歳月をかけてトレーニングを担当してきたK-1ファイター武尊選手が那須川天心選手と闘った世紀の大一戦があった日だ。

そして、時同じくして、東京オリンピックレスリング女子フリースタイル53kg級金メダリスト 志土地(向田)真優選手(現在55㎏級、所属:ジェイテクト)もオリンピックレースがこの日始まった。

選手を支える立場として彼は、どんな気持ちでその時を迎えたのだろう?

「勝ち負けだけではなく、これまでやってきたことの答え合わせになる瞬間だから、人一倍緊張する」というケビン。
そして、こうも言っていた。「選手を一番遠くに感じる日でもある。」と。
なぜなら、試合中は選手の姿をただただ、外から見るだけ。それしかできないから。

今回もそうだった、朝から立て続けに試合があった志土地選手。一つ一つの試合を勝ち続け、優勝の座につく。
そこで終わりではなく、世界大会に出場する枠をかけて最後の最後にもう1試合プレーオフがある。
一瞬の気も抜けないまま時間が過ぎる。怪我や調子がでなかった時の彼女を支えてきた一人でもあるケビンは、一試合一試合、丁寧に答え合わせをしていた。志土地選手の強さは安定しており、激戦を全て勝利で勝ち取るという驚異的な成績で締めくくれた。その時のケビンの安堵感は我々が到底想像できるものではない。





そして次は、武尊選手。

勝って欲しい気持ち。極限の精神状態から解放してあげたい気持ち。そんな複雑な思いを胸に、取り組んできたことへの答え合わせが始まる。



選手にとって一番苦しいのは試合中ではなく、それまでのトレーニングを含む準備期間だという。その期間を一緒に背負えるのがパーソナル・トレーナーでもある。勿論実働は選手がするわけで、パンチやキック、タックルに至るまで、トレーナーが同じことをするというのとは意味が違うが、「もっとこうなりたい」「ここを改善したい」を形にすることで、選手の一番近くにいて、解決方法を提案することができる唯一の存在でもあるからだ。

その提案が正しかったのか? ひとつひとつを答え合わせするのは、二つの理由がある。
一つは、これからの彼ら選手にとっての「進化」に責任を持つため。そしてもう一つは、結果が残せなかった時、責任を振り分けてもらい、彼らの心の負担を軽減するためだ。

パーソナル・トレーナーを目指す若者たちは、いつかトップアスリートのトレーニングに携わりたい。そう思う人も多いだろう。憧れはその氷山の一角である華やかな部分に目が行きがちだが、本質はどれだけ選手と一緒にその時を耐え、前進できるか、ということなのかもしれない。
一流のトレーナーの影の姿を見てそんな風に感じた。

「パーソナル・トレーナー」 今では多くの人がその存在を知っている。
理想の体型や健康を手に入れるために、最も効率よくトレーニングするための方法をその存在に委ねる。

しかし、日本におけるその歴史はまだ20数年… パーソナル・トレーナーという存在を確固たるものにしたのは、まぎれもなく「ケビン山崎」だろう。

「パーソナル・トレーナー」という職業は、医師や弁護士のように特定の資格が必要なわけではないが、確実に必要とされるものがある。それは「経験」だ。
どれだけ多くの人のカラダを変え、そしてそれを継続してきたか、数と年数がポイントとなる。

人のカラダは100人いれば100通り存在し、トレーニングと呼ばれるものも少しのアレンジでオリジナルになる。要はメソッド化することが非常に困難なものだ。だからこそ、目の前にいる顧客の過去をいかに理解し、現在を意識し、未来へつなげられるか、という創造力が必要となる。そのためには自身の経験が大きなポイントとなり、ふんだんにその能力を使って顧客の「やる気」を出さなければならない。

36年間寝ても覚めても「パーソナル・トレーナー」としての日々を考え抜いてきたケビン山崎も、今年で71歳になる。見た目だけではなく、カラダの中や思考回路に至るまで、現在の彼そのものが「筋肉」と共に形成されてきた。

自身のメソッドで多くの顧客と直接交わり、そして「パーソナル・トレーナー」の育成にも携わってきた彼が、今改めて思うことを一冊の本にまとめたのが、「MUSCLE BIBLE 筋肉伝道師の最終解答」(幻冬舎)だ。
今も昔も変わらない「筋肉」という重要な存在がもたらすことが記載されている。一方で、ケビンがこの職業を選んだ理由に紐づくその内容を知ることで、読んだ人も改めて自分自身の生き方、そして筋肉について考えさせられるのではないだろうか?

軸をぶらさず、進化し続けてきたケビン山崎だからこそ語れる「最終解答」。
ぜひ、読んで今のあなたのカラダとココロの答え合わせをしてみて欲しい。