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フィットネスの歴史は古く、1950年のアメリカ大統領諮問委員会によるフィットネスの定義では、「日々の作業を効率的に行い、しかもレジャーを楽しみ、予期せぬ緊急事態に対して十分適応できるだけのエネルギーを残しておける能力」と記されたのがスタートだ。
それ以来、自分自身の快適な生活のために運動をはじめとするフィットネスに多くの人が取り組んできた。
日本では1960年の東京オリンピック後から本格的にフィットネスという文化が確立されるようになり、現在に至るまで多くの研究がされてきたが、ケビン山崎もその研究をしてきた一人だ。 

ケビンはトレーニングが職業の一部として必要とするスポーツ選手などを中心に、その人たちが手にするべきカラダをゴールに、そこまでの距離を最短で到達させ、得られる結果も最大化することを常に目指してきた。
ただ単に筋肉の量を増やすとか、脂肪の量を減らすなどといったことではなく、持ち合わせている自分自身の能力を最大限活用する「カラダの動き」に着目してきた。

2010年後半、トレーニングの先進国アメリカにおいて、アスリートのトレーニングに多くの計測が用いられるようになり、それまで明確ではなかった「カラダの使い方」というものが数値化、可視化されるようになった。
これは結果を出すまでの距離を縮めることは勿論、インナーマッスルに対して、多くの研究者たちが興味を持つきっかけとなったのだ。

あるとき、インナーマッスル(深部に存在する筋肉)が最終的に「動作」に繋がるプロセスをケビンはメソッド化し、スポーツ選手のトレーニングに導入することに成功した。
動作を分析し、その構成を理解する。
そうするとスランプに陥った際、ダメなポイントを明確にできる。そのポイントを改善することで、スランプからの脱出は容易となる。さらなる向上のため、弱点や強みを知ることへも繋がる。
まずインナーにある筋肉を始動させ、それに誘導されるように動くアウターマッスルの連動性を学ぶことから取り組む。その結果、発揮できるパフォーマンスは格段に上がり、彼ら選手にとっての目的を成し遂げられるというわけだ。

これはスポーツ選手だけにとどまらず、我々一般人にとっても同様の見解を持つことができる。
動けるカラダはすなわちインナーマッスルからアウターマッスルへの力の連動を良くするトレーニングに取り組むこと。その手法は「捻り・捻じれ」にある。
カラダを捻るという動作は必ずインナーマッスルが始動して働き、それに誘導されてアウターマッスルが動く。引き込む力が強ければ強い程、ほどけるスピードも速くなるようなことをイメージすると分かりやすいだろう。

ケビン山崎が考案したこの「Athlete Body Make Program(ABPM)」は、まさに「捻り」「捻じること」に特化したプログラムだ。
捻じれから生じる出力はバッティングに代表されるように、中心部のひきつけが強くなることで、打ったボールの打撃スピードが向上し、コンタクトポイントも強くなる。
野球をしている、していないにかかわらず、ヒッティングという動作を通じて、この「捻り」「捻じれ」の機能を良くすることがアスリートのカラダへ近づく手段であり、動けるカラダを手にすることもできるのだ。

2021年からの1年間で、多くの一般のお客様がこのプログラムを受講したという。
受講者からは「動きが機敏に、そしてしなやかになった」「カラダの使い方に対する理解を深めることができた」といった感想が寄せられ、それと同時に、長年悩まされていた肩こりや腰痛などから解放されたらしい。
そして「頭をフル回転させ、カラダの使い方を考えながら動かす」という体験に感動されていたのが最も印象的だった。






2022年6月19日、それはケビン山崎にとっては特別な日だった。ケビンが5年の歳月をかけてトレーニングを担当してきたK-1ファイター武尊選手が那須川天心選手と闘った世紀の大一戦があった日だ。

そして、時同じくして、東京オリンピックレスリング女子フリースタイル53kg級金メダリスト 志土地(向田)真優選手(現在55㎏級、所属:ジェイテクト)もオリンピックレースがこの日始まった。

選手を支える立場として彼は、どんな気持ちでその時を迎えたのだろう?

「勝ち負けだけではなく、これまでやってきたことの答え合わせになる瞬間だから、人一倍緊張する」というケビン。
そして、こうも言っていた。「選手を一番遠くに感じる日でもある。」と。
なぜなら、試合中は選手の姿をただただ、外から見るだけ。それしかできないから。

今回もそうだった、朝から立て続けに試合があった志土地選手。一つ一つの試合を勝ち続け、優勝の座につく。
そこで終わりではなく、世界大会に出場する枠をかけて最後の最後にもう1試合プレーオフがある。
一瞬の気も抜けないまま時間が過ぎる。怪我や調子がでなかった時の彼女を支えてきた一人でもあるケビンは、一試合一試合、丁寧に答え合わせをしていた。志土地選手の強さは安定しており、激戦を全て勝利で勝ち取るという驚異的な成績で締めくくれた。その時のケビンの安堵感は我々が到底想像できるものではない。





そして次は、武尊選手。

勝って欲しい気持ち。極限の精神状態から解放してあげたい気持ち。そんな複雑な思いを胸に、取り組んできたことへの答え合わせが始まる。



選手にとって一番苦しいのは試合中ではなく、それまでのトレーニングを含む準備期間だという。その期間を一緒に背負えるのがパーソナル・トレーナーでもある。勿論実働は選手がするわけで、パンチやキック、タックルに至るまで、トレーナーが同じことをするというのとは意味が違うが、「もっとこうなりたい」「ここを改善したい」を形にすることで、選手の一番近くにいて、解決方法を提案することができる唯一の存在でもあるからだ。

その提案が正しかったのか? ひとつひとつを答え合わせするのは、二つの理由がある。
一つは、これからの彼ら選手にとっての「進化」に責任を持つため。そしてもう一つは、結果が残せなかった時、責任を振り分けてもらい、彼らの心の負担を軽減するためだ。

パーソナル・トレーナーを目指す若者たちは、いつかトップアスリートのトレーニングに携わりたい。そう思う人も多いだろう。憧れはその氷山の一角である華やかな部分に目が行きがちだが、本質はどれだけ選手と一緒にその時を耐え、前進できるか、ということなのかもしれない。
一流のトレーナーの影の姿を見てそんな風に感じた。

「パーソナル・トレーナー」 今では多くの人がその存在を知っている。
理想の体型や健康を手に入れるために、最も効率よくトレーニングするための方法をその存在に委ねる。

しかし、日本におけるその歴史はまだ20数年… パーソナル・トレーナーという存在を確固たるものにしたのは、まぎれもなく「ケビン山崎」だろう。

「パーソナル・トレーナー」という職業は、医師や弁護士のように特定の資格が必要なわけではないが、確実に必要とされるものがある。それは「経験」だ。
どれだけ多くの人のカラダを変え、そしてそれを継続してきたか、数と年数がポイントとなる。

人のカラダは100人いれば100通り存在し、トレーニングと呼ばれるものも少しのアレンジでオリジナルになる。要はメソッド化することが非常に困難なものだ。だからこそ、目の前にいる顧客の過去をいかに理解し、現在を意識し、未来へつなげられるか、という創造力が必要となる。そのためには自身の経験が大きなポイントとなり、ふんだんにその能力を使って顧客の「やる気」を出さなければならない。

36年間寝ても覚めても「パーソナル・トレーナー」としての日々を考え抜いてきたケビン山崎も、今年で71歳になる。見た目だけではなく、カラダの中や思考回路に至るまで、現在の彼そのものが「筋肉」と共に形成されてきた。

自身のメソッドで多くの顧客と直接交わり、そして「パーソナル・トレーナー」の育成にも携わってきた彼が、今改めて思うことを一冊の本にまとめたのが、「MUSCLE BIBLE 筋肉伝道師の最終解答」(幻冬舎)だ。
今も昔も変わらない「筋肉」という重要な存在がもたらすことが記載されている。一方で、ケビンがこの職業を選んだ理由に紐づくその内容を知ることで、読んだ人も改めて自分自身の生き方、そして筋肉について考えさせられるのではないだろうか?

軸をぶらさず、進化し続けてきたケビン山崎だからこそ語れる「最終解答」。
ぜひ、読んで今のあなたのカラダとココロの答え合わせをしてみて欲しい。



2020年東京五輪、女子レスリング・フリースタイル53㎏級で金メダルを獲得した向田真優選手(ジェイテクト所属)。
五輪連覇に向けて、ケビン山崎と共に更なる進化を求め、新たなトレーニングにチャレンジしている。

彼女が持つ強靭な肉体に、より一層キレを出すため、走ったり飛んだりなどの直線的な動きだけではなく、ケビン山崎が生み出したSuper Treadmill Training(スーパー・トレッドミル・トレーニング)に取り組んでいる。

このSuper Treadmill Training(スーパー・トレッドミル・トレーニング)は「スプリント(走る)」を軸にした神経系トレーニングだ。

適切なフォームを意識し、脳から筋肉に指令を出す。
ここでいう筋肉の中には不随意筋と呼ばれるインナーマッスルも該当する。不随意筋とは、自らの意志では動かすことができない筋肉で、静止した状態では作用することがない。スーパー・トレッドミルで傾斜や速度をコントロールすることで、はじめてインナーマッスルが作用する環境をつくり出すことができるのだ。

脳から筋肉に指令を出し、順序よく円滑に100%以上の力で発揮させる訓練を向田選手は日々行っている。

Super Treadmill Trainingで得たカラダ(筋肉)の使い方を別のトレーニングや種目に適応させることで、どんな環境下でも自身のカラダ(筋肉)を自在に操れるようになる。そして今までよりも多くの筋肉を意識して動けるようになり、より強く、より速くなる。

向田選手にとって最大の武器になることは間違いない。
                   
この春からはスポーツ心理学を学ぶため、九州共立大学大学院に進学。競技と学業を両立させながら、2024年パリ五輪で連覇を狙う。

世界最強女王の向田真優選手の進化は止まらない。






「神経系トレーニング」と聞いて、あなたはどんなトレーニングを思い浮かべるだろうか?
スポーツ選手のためのトレーニングだったり、パフォーマス向上を目的とする特別なトレーニングを想像する人も少なくないだろう。
40年近くトレーニングに携わっている、トレーニングのスペシャリスト ケビン山崎に聞いてみた。

トレーニングには大きく分けて無酸素運動、有酸素運動がある。
これは動きに対するエネルギー源と所要時間をベースに区別される。2つの運動のうち、無酸素運動は強度が高く、結果を追求するためには分かりやすい運動だとケビンは答えた。

無酸素運動に着目したケビンはこうも語る。
無酸素運動そのものも、目的に応じていくつかの手段(トレーニング)に分かれている、と。
ひとつは、筋肥大を目指すウエイト・トレーニング、そしてもうひとつは、脳と筋肉の連携を向上させて扱える筋肉を増やし、活性化させる神経系トレーニングだ。

神経系のトレーニングでケビンが用いる最もポピュラーなトレーニングがスプリント・トレーニングだ。これは、Super Treadmill Training(スーパートレッドミルトレーニング)とも呼ばれる、「走る(ダッシュ)」を軸につくられたトレーニングで、日本ではTOTAL Workoutだけが所有している高速・高傾斜トレッドミルを用いたケビン山崎独自の神経系トレーニングメソッドである。

適切なフォームを意識してカラダを動かすことで、脳(神経)と筋肉の連携が上がり、同時間で考える量、使わなければならない筋肉量が飛躍的に向上する。

難易度を上げるために、バックペダルトレーニングという後ろ向きに走るトレーニングを導入することにより、フォワードのスプリント・トレーニングと比較して最大200%の筋肉の活性を誘発する。フォワードとバックペダルを組み合わせてトレーニングすることで、最短で、最も効率良く、トレーニング効果を出すことができる。

また、Super Treadmill Trainingはインナーマッスルから動きをつくりだすという特徴がある。インナーマッスルは不随筋と呼ばれる自らの意思で動かすことができない筋肉だが、ある環境下においてはインナーマッスル自体をコントロールし、意識的に動かすことが可能となる。インナーマッスルは静止した動きの中では作用することがなく、動きの中ではじめて作用する。つまり、すべての動作はこのインナーマッスルが始動することでつくりだされ、持ち合わせる筋肉の使い方にフォーカスすることでパフォーマンスを著しく向上させることができるのだ。勿論それはフィットネスへの応用も可能で、多くの人の日常に役立つ。
ケビンはこれまで多くのスポーツ選手にこのトレーニングを導入し、成果を上げてきた。

そしていつしか、この神経系トレーニングはスポーツ選手だけのものではなく、一般的に健康になりたい人や、美しいカラダを手に入れたい人などにも最短の結果を出せるのではないか? と考えるようになった。それは、「一般人を強度の低いアスリート」と位置づけるようになった彼のメソッドにつながる。

スポーツ選手が必要としているパフォーマンスの向上は、一般の人にとっても、日常生活が楽になり、これまでできなかったことができるようになるという達成感を感じられるものになる。
決して特別な人だけのものではないのが神経系トレーニングなのだ。

2021年の終わりごろから、ケビンはTOTAL Workout内に「Athlete Body Make Program」と題して、スポーツ選手のトレーニングをフィットネスに応用したプログラムを実施している。
受講する方が得られる最大の能力とは、「カラダの使い方を学び、身につけること」だ。
ウエイト・トレーニングは一切実施せず、神経系のトレーニングのみを行う。趣味で行うスポーツのパフォーマンス向上は勿論、不調だったカラダの部位がよくなることや、カラダのカタチが変わり、より「しなやかでかつアクティブな自分」になれると評判だ。

自分自身の可能性が広がるコンテンツとして大いに興味が持てる。






直径73mm、重さ143gのボールが100km/h以上でフィールドを駆け巡る。そんな野球において、投手は自身のカラダひとつでボールに「速度」「変化」を与え、タイミングをコントロールし駆け引きを繰り返す。

チームが優勝争いを展開するシーズンで一翼に名を連ねたプロ野球、楽天イーグルスの安樂智大選手は、ケビン山崎とのトレーニングで更なる進化を求めている。



安樂選手がケビン山崎とトレーニングを開始したのは2018年。ケガから復活した安樂選手は真っ直ぐに目標を見据えていた。本来のパフォーマンスを最大限引き出すプログラム「Athlete Tuning Method®︎」 (Redcordを活用)で、一層深いところからカラダと向き合い投球に落とし込んだ。

そして今、安樂選手の目標は「より沢山の筋肉を使うこと」だ。
これは、バイオメカニクスの観点からピッチングをひも解き、分解した動きを理解しなければパフォーマンス向上につなげることが難しい、といったプロアスリートでもなかなか困難な作業になる。カラダを物体として捉えると、骨、靭帯、腱、筋肉と脳、そして脳とそれらを繋ぐ神経が動きに直結する要素である。
ケビン山崎はその中でも、「筋肉」と「骨」に着目し、脳でコントロールができる状態を理想とする。重心移動による動作エネルギーを、更に効率良く加速させる為に筋肉を利用し、反発力を加えようという方法であるが、これは矢を放つ際の「弓」をカラダと捉えるとわかりやすい。通常通り矢を引いたところから、更にもう一段引くのだ。そしてそれだけでは終わらず、矢を放ったその瞬間に、弓自体を前に押し出して更に加速させるような取り組み− これを単純な弓矢ではなく、ケビン山崎は複雑な関節や筋肉が入り乱れる人間のカラダで行うアプローチをしようというのだ。

具体的には下記3工程に取り組み、ピッチングに落とし込んでいる。

1. Screw in 股関節に重心を正しく乗せ、力を溜める
2. Crunch 上半身を利用し力を溜め、支点の移動が起こる
3. Rotation 3Dな捻れを利用し、爆発的なパワーを生む

軸足の股関節で生み出したパワーをいかに指先まで伝えるか、これには安樂選手も、繊細かつ大胆な筋肉のコントロールが求められている。それぞれの部位に違ったベクトルと時差が生まれることで、単純に動作したときとはまるで違う感覚を得ることができる。
カラダのパワーを生み出すために、筋量を増やすのではなく、筋肉の使い方でボールへの力が増すのだから面白い。無理に筋出力をしていないため、脱力すべきところはより脱力しながら加速ができて随分と楽になる。加えて、バッターから見ればタイミングも変わるなど一石二鳥以上の内容だ。

このように、安樂選手のトレーニングはバイオメカニクスの最先端であり、またその進化の裏に見える強力な肉体を操る技巧からは目が離せない。








2021年11月29日

トレーニングの進化②

今回は、前回に引き続きトレーニングの進化をベースに話を進めていきたい。

スタンダードなウエイト・トレーニングで筋肉をつくり、スピード・トレーニングで動けるカラダをつくるというところまでは、これまで述べてきた通りだが、動けるカラダにもその質に目を向けると、ある一定のランクをつけることができる。

例えば、まっすぐに走るということや、上に跳ぶという直線的な動きにおいてのカラダの使い方に比べ、カラダを捻る動作というのはより多くの筋肉を使い、同時にインナーマッスルを使うことになる。つまり複雑化された動きは、それだけコントロールが難しいということだ。インナーマッスルがうまく作動するからこそ、アウターとして働く筋肉が動かされるわけなので、キーポイントはこのインナーマッスルにある。

神経系のトレーニングではスーパートレッドミルにおけるスプリントを用いたように、もう一段階複雑化された動きには、例えば捻りの代表格であるスウィングだ。日頃意識したことのない筋肉ばかりをより深く捻るという動作。それを理解することは容易ではない。そして最終的に、その捻りの強さとタイミングにおいてバットを持ちボールを打った際のパワーの生まれ方が大きく異なることにも気付くことになる。

また、このトレーニングが現在発見されている動きの中で最も難しいと想定してよいだろう。最も困難なこのインナーマッスルの動きを理解することができたとき、すべての競技においてそのパフォーマンスが向上する。勿論一般の方においても同様にしてカラダの使い方を熟知すると、カラダに起こる不調(肩こりや腰痛、ひざ痛など)から解放される。

そういったメリットとは反対にデメリットとして挙げられることは、習得するまでに時間がかかるということだ。しかし、ケビン山崎は自身のコンセプトでもある『最短で最大の結果』にこだわり、習得できる時間の短縮に一つの解決策を見出したのだ。

これまでの動作分析のように二次元といわれる動画の画面をベースに解析ソフトを利用することとは違い、三次元(3D)の世界でそれを実現するということだ。High Speed 3D Motion Capture を使用することで、捻りに欠かせない骨盤の動きが立体的に理解することが可能となる。

骨盤の回転速度、傾きなどを可視化、数値化することで断然理解の幅が広がる。思い付きや感覚では解決できないこの問題に対して、より脳を使い神経回路を通して筋肉にシグナルを送るプロセスを徹底解析した。



ケビンは脳を活性させ、潜在能力を引き出し、最終的にこれまでよりレベルの高いカラダの動かし方を学ぶことこそが、新時代のトレーニングだと考えている。




二刀流として野球界のみならず、世界中を熱狂させた大谷翔平選手。何故あのような目覚ましい活躍が可能だったのか?

最新のメソッドを元にケビン山崎が分析を行い、紐解くと実に面白い結果となる。その分析結果をケビン山崎はこのように表現する。

『彼は二刀流ではなく、The一刀流である』

身体から力を生み出す手法として、Propulsion Drive(推進駆動)という手法がある。これはピッチャーがリリースポイントでいかに100%の力を効率良く持ってくるか?を考える上で、非常に重要なプロセスである。

特に大谷翔平選手のように平均球速150kmを超えるピッチャーの場合、筋力に頼るのでなく、効率良く全身の筋肉の運動連鎖を起こさせることが必要となる。重要なプロセスは下記3つで、この一連の力の出し方をPropulsion Driveと呼んでいる(下記の図を参照)。

① 軸足を内旋させながら下方にプッシュする。
② 内旋し下方に圧力がかかった状態で、地面をプッシュする。
③ プッシュした力の反作用でLower Torso(体幹の下側)が軸足と逆回旋を起こす。



これにより、身体の内側から大きなうねり、てこの原理、反作用が生まれ、速球に繋がっている。そして分析を進めていくと、大谷翔平選手は、この160kmを超える速球を生み出せる身体の使い方をスイング時でも使って、力の増幅を行っている。という事実が分かる。



ピッチャーとバッター、二つの役割を果たしているから二刀流と呼ばれているのだが、このPropulsion Driveの身体の使い方をピッチャーとバッターを実践しているだろう大谷選手は、バイオメカニクス的には、唯一無二の『The一刀流』と言える。




2021年10月18日

武尊選手進化のカギ

「力強さ」「俊敏性」「爆発力」に「持久力」、対戦相手との空気感や作戦に至るまで多くの要素でトップクラスの能力が求められる格闘技。

武尊選手がケビン山崎とトレーニングを始めたのは、4年前。試合があるごとに最後の追い込みをかけるためのトレーニングと、試合当日のカラダの調整が目的でケビンのところへ通っていた。

しかし、今回はその取り組みに変化が見られた。試合前の短期集中トレーニングではなく、半年間という期間でピークをつくり出そうというものだ。

これはパワーを増やすというより、回復力の飛躍的向上が一番の目的となる。短い時間の中で最大のパフォーマンスを出すとなると、短時間での回復、時間内での活動量の増加が必要となる。それらを可能とすることに今回は取り組んだ。

回復力が上がると、日ごろの練習時のスパークリングにおいても、これまでよりも格段に良い状態で実施できていると感じるようになる。つまり今回は長期間を通してフィジカルの底上げが徹底的にできたということを意味する。また、武尊選手とケビンの取り組みには続きがあって、武尊選手が感覚で行っているパンチやキックにおいて、その分析を立体的に行うことで、弱点や強化ポイントを明確にした。

感覚的なものを数値化、可視化することで、自分自身の改善ポイントが明確になる。それは動画撮影という二次元の世界では解明できなかった技術だ。武尊選手に搭載された3Dのハイスピードカメラは動きを三次元で表し、カラダの中を立体的にみることができる。

骨盤の傾きを立体的にみることで、どのくらい体重が乗せられているか?そこからのキックはどのくらいの威力になるか?が分かる。また、左右差をうまく利用する方法や、相手の攻撃をいかに自分の力に変換できるか?なども明確になるというからすごい。

武尊選手のトレーニングは、まさにテクノロジーとの融合。強さの裏に見える最先端のトレーニング技術と彼の適応能力に、これからも目が離せない。

今回は、トレーニングの進化を述べる上で欠かすことのできない、各トレーニングについて詳しく述べることにしよう。

「目的」をゴールとするなら、トレーニングは間違いなく手段である。
その手段においては、理解し、納得するほど結果が出るとケビン山崎は言う。

まず念頭に置いておかなければいけないことがある。それは、トレーニングは常に「アップデイト」と「アップグレイド」を繰り返しているということだ。「アップデイト」は一つのトレーニングカテゴリー内における進化や発見のことを指し、「アップグレイド」はこれまでになかった要素、つまり新しいトレーニングカテゴリーが新設されることを意味する。

ここでは、ケビン山崎がつくり上げてきたトレーニングメソッドの「アップグレイド」に着目し、話を進めていきたい。

1986年、パーソナル・トレーナーとしてアメリカで活動をしていたケビンのところには、外見を変えたい人、健康になりたい人、パフォーマンスを上げたい人が集まってきていた。それらすべての人々に共通して必要だったことが『筋肉をつけて、代謝を上げる』ということだった。筋肉の量で外見は変わるし、代謝が上がるとさらに効率も上がる。健康とは明らかに代謝の高さを示すものであるし、パフォーマンスの基礎は筋肉量に比例する。だからこそ『筋肉をつくる』。それがカラダづくりの入り口になるのだ。

今や多くのトレーナーがそうであるように、普遍的にベースを構成するのはやはり『筋肉をつくること』を目的とした『Weight Training』である。最も効率良く筋肉を増やす方法として、ケビンが自身のメソッドでこだわったのは、リフティングの仕方とトレーニング部位の選定、セットの組み方だ。単純に重りを持ち上げるのではなく、効率よく筋肉を肥大させることをポイントとした。

生み出すエネルギーは重いものを持ち上げれば上げるほど大きくなる。よって1kgでも重いものを挙上することで筋肉をたくさん使い、回復も必要になる。それが筋肥大に有効な働きをすることをケビンは知っていた。下半身から上半身に力を連動させ、動きの中でウエイト・リフティングをすること。これを「Muscle in Motion」と名付け、そこにこだわった。

下半身の力を上半身に伝えるには反動に似た動きが必要になる。反動を使って1kgでも重い重りを挙上することが結果を左右するということだ。そして、最も筋肥大につながる挙上回数を10回に設定し、1回1時間、週に3回、3週間。そのセッティングが効率良くかつ効果的であることを発見したのだ。いつしか、それがトータル・ワークアウトのウエイト・トレーニングのベースとなり、多くの人が実践することで、結果を出し続けることへ繋がっていった。

1990年に入ると、ケビンのトレーニングメソッドが大きな転機を迎えることになる。それは、できた筋肉に神経を通す『神経系』のトレーニングだった。ケビンがアメリカで活動をしていたころからアスリートのクライアントが多く、中でもアメリカンフットボールの選手を中心に、大きなカラダでスピーディに動ける能力を求められる競技が多かった。

今でこそ、カラダが大きくても素早く動ける選手はそう珍しくはないが、一昔前までその能力には限界があると考えられていた。つくった筋肉は鎧のようなもので、神経を通さない限り役目を果たさない。実際に筋肉をつけたからと言って、ホームランが打てるわけでもなければ、ボクシングでノックアウトできるわけでもない。自らが持つ筋肉をどのようにコントロールできるか?が重要となる。

1990年、神経系を開花する画期的なトレーニングマシンに出会うまで、ケビンは試行錯誤しながらも、この神経系のトレーニングを取り入れていた。一例としてあげられるのが『パワーリフティング』だ。『パワーリフティング』は、2つ以上の筋肉を順番に100%使っていくことで出力が決まる。うまく筋肉連動ができたとき、思いもよらない力が出る。理にかなった方法で多くのトップアスリートは神経系を鍛えていった。しかし、この方法には唯一欠点があった。習得に時間がかかるということだ。

1993年、ケビンが出会った活気的な神経系のトレーニングというのは、 Athletic Republicのスーパートレッドミルを使ったものだった。つまりダッシュをする筋肉を学び、その筋肉の連動を良くしていくことで、自然とスピ―ドが増加し、カラダにキレが生まれるというものだ。パワーリフティングで神経系を良くすることよりも2.5倍速く、同じ結果を得ることができるというのだからすごい。

ケビン山崎のトレーニングメソッドが静から動へ動き出した瞬間であり、『アップグレイド』された瞬間だ。この革命によって、ケビン山崎はより多くの目的をより短時間で叶えるカラダを提供できるようになる。トータル・ワークアウトというジムをつくり、そこで指導する数多くのパーソナル・トレーナーも一人残らず、『スーパートレッドミル』を用いた神経系の処方を習得している。

トータル・ワークアウトが他にないトレーニング結果を短時間で出せる秘密がここにあったのだと確信した。そして今、それがトータル・ワークアウトのトレーニングにおいてスタンダードとなっている。




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フィットネスの歴史は古く、1950年のアメリカ大統領諮問委員会によるフィットネスの定義では、「日々の作業を効率的に行い、しかもレジャーを楽しみ、予期せぬ緊急事態に対して十分適応できるだけのエネルギーを残しておける能力」と記されたのがスタートだ。
それ以来、自分自身の快適な生活のために運動をはじめとするフィットネスに多くの人が取り組んできた。
日本では1960年の東京オリンピック後から本格的にフィットネスという文化が確立されるようになり、現在に至るまで多くの研究がされてきたが、ケビン山崎もその研究をしてきた一人だ。 

ケビンはトレーニングが職業の一部として必要とするスポーツ選手などを中心に、その人たちが手にするべきカラダをゴールに、そこまでの距離を最短で到達させ、得られる結果も最大化することを常に目指してきた。
ただ単に筋肉の量を増やすとか、脂肪の量を減らすなどといったことではなく、持ち合わせている自分自身の能力を最大限活用する「カラダの動き」に着目してきた。

2010年後半、トレーニングの先進国アメリカにおいて、アスリートのトレーニングに多くの計測が用いられるようになり、それまで明確ではなかった「カラダの使い方」というものが数値化、可視化されるようになった。
これは結果を出すまでの距離を縮めることは勿論、インナーマッスルに対して、多くの研究者たちが興味を持つきっかけとなったのだ。

あるとき、インナーマッスル(深部に存在する筋肉)が最終的に「動作」に繋がるプロセスをケビンはメソッド化し、スポーツ選手のトレーニングに導入することに成功した。
動作を分析し、その構成を理解する。
そうするとスランプに陥った際、ダメなポイントを明確にできる。そのポイントを改善することで、スランプからの脱出は容易となる。さらなる向上のため、弱点や強みを知ることへも繋がる。
まずインナーにある筋肉を始動させ、それに誘導されるように動くアウターマッスルの連動性を学ぶことから取り組む。その結果、発揮できるパフォーマンスは格段に上がり、彼ら選手にとっての目的を成し遂げられるというわけだ。

これはスポーツ選手だけにとどまらず、我々一般人にとっても同様の見解を持つことができる。
動けるカラダはすなわちインナーマッスルからアウターマッスルへの力の連動を良くするトレーニングに取り組むこと。その手法は「捻り・捻じれ」にある。
カラダを捻るという動作は必ずインナーマッスルが始動して働き、それに誘導されてアウターマッスルが動く。引き込む力が強ければ強い程、ほどけるスピードも速くなるようなことをイメージすると分かりやすいだろう。

ケビン山崎が考案したこの「Athlete Body Make Program(ABPM)」は、まさに「捻り」「捻じること」に特化したプログラムだ。
捻じれから生じる出力はバッティングに代表されるように、中心部のひきつけが強くなることで、打ったボールの打撃スピードが向上し、コンタクトポイントも強くなる。
野球をしている、していないにかかわらず、ヒッティングという動作を通じて、この「捻り」「捻じれ」の機能を良くすることがアスリートのカラダへ近づく手段であり、動けるカラダを手にすることもできるのだ。

2021年からの1年間で、多くの一般のお客様がこのプログラムを受講したという。
受講者からは「動きが機敏に、そしてしなやかになった」「カラダの使い方に対する理解を深めることができた」といった感想が寄せられ、それと同時に、長年悩まされていた肩こりや腰痛などから解放されたらしい。
そして「頭をフル回転させ、カラダの使い方を考えながら動かす」という体験に感動されていたのが最も印象的だった。






2022年6月19日、それはケビン山崎にとっては特別な日だった。ケビンが5年の歳月をかけてトレーニングを担当してきたK-1ファイター武尊選手が那須川天心選手と闘った世紀の大一戦があった日だ。

そして、時同じくして、東京オリンピックレスリング女子フリースタイル53kg級金メダリスト 志土地(向田)真優選手(現在55㎏級、所属:ジェイテクト)もオリンピックレースがこの日始まった。

選手を支える立場として彼は、どんな気持ちでその時を迎えたのだろう?

「勝ち負けだけではなく、これまでやってきたことの答え合わせになる瞬間だから、人一倍緊張する」というケビン。
そして、こうも言っていた。「選手を一番遠くに感じる日でもある。」と。
なぜなら、試合中は選手の姿をただただ、外から見るだけ。それしかできないから。

今回もそうだった、朝から立て続けに試合があった志土地選手。一つ一つの試合を勝ち続け、優勝の座につく。
そこで終わりではなく、世界大会に出場する枠をかけて最後の最後にもう1試合プレーオフがある。
一瞬の気も抜けないまま時間が過ぎる。怪我や調子がでなかった時の彼女を支えてきた一人でもあるケビンは、一試合一試合、丁寧に答え合わせをしていた。志土地選手の強さは安定しており、激戦を全て勝利で勝ち取るという驚異的な成績で締めくくれた。その時のケビンの安堵感は我々が到底想像できるものではない。





そして次は、武尊選手。

勝って欲しい気持ち。極限の精神状態から解放してあげたい気持ち。そんな複雑な思いを胸に、取り組んできたことへの答え合わせが始まる。



選手にとって一番苦しいのは試合中ではなく、それまでのトレーニングを含む準備期間だという。その期間を一緒に背負えるのがパーソナル・トレーナーでもある。勿論実働は選手がするわけで、パンチやキック、タックルに至るまで、トレーナーが同じことをするというのとは意味が違うが、「もっとこうなりたい」「ここを改善したい」を形にすることで、選手の一番近くにいて、解決方法を提案することができる唯一の存在でもあるからだ。

その提案が正しかったのか? ひとつひとつを答え合わせするのは、二つの理由がある。
一つは、これからの彼ら選手にとっての「進化」に責任を持つため。そしてもう一つは、結果が残せなかった時、責任を振り分けてもらい、彼らの心の負担を軽減するためだ。

パーソナル・トレーナーを目指す若者たちは、いつかトップアスリートのトレーニングに携わりたい。そう思う人も多いだろう。憧れはその氷山の一角である華やかな部分に目が行きがちだが、本質はどれだけ選手と一緒にその時を耐え、前進できるか、ということなのかもしれない。
一流のトレーナーの影の姿を見てそんな風に感じた。

「パーソナル・トレーナー」 今では多くの人がその存在を知っている。
理想の体型や健康を手に入れるために、最も効率よくトレーニングするための方法をその存在に委ねる。

しかし、日本におけるその歴史はまだ20数年… パーソナル・トレーナーという存在を確固たるものにしたのは、まぎれもなく「ケビン山崎」だろう。

「パーソナル・トレーナー」という職業は、医師や弁護士のように特定の資格が必要なわけではないが、確実に必要とされるものがある。それは「経験」だ。
どれだけ多くの人のカラダを変え、そしてそれを継続してきたか、数と年数がポイントとなる。

人のカラダは100人いれば100通り存在し、トレーニングと呼ばれるものも少しのアレンジでオリジナルになる。要はメソッド化することが非常に困難なものだ。だからこそ、目の前にいる顧客の過去をいかに理解し、現在を意識し、未来へつなげられるか、という創造力が必要となる。そのためには自身の経験が大きなポイントとなり、ふんだんにその能力を使って顧客の「やる気」を出さなければならない。

36年間寝ても覚めても「パーソナル・トレーナー」としての日々を考え抜いてきたケビン山崎も、今年で71歳になる。見た目だけではなく、カラダの中や思考回路に至るまで、現在の彼そのものが「筋肉」と共に形成されてきた。

自身のメソッドで多くの顧客と直接交わり、そして「パーソナル・トレーナー」の育成にも携わってきた彼が、今改めて思うことを一冊の本にまとめたのが、「MUSCLE BIBLE 筋肉伝道師の最終解答」(幻冬舎)だ。
今も昔も変わらない「筋肉」という重要な存在がもたらすことが記載されている。一方で、ケビンがこの職業を選んだ理由に紐づくその内容を知ることで、読んだ人も改めて自分自身の生き方、そして筋肉について考えさせられるのではないだろうか?

軸をぶらさず、進化し続けてきたケビン山崎だからこそ語れる「最終解答」。
ぜひ、読んで今のあなたのカラダとココロの答え合わせをしてみて欲しい。



2020年東京五輪、女子レスリング・フリースタイル53㎏級で金メダルを獲得した向田真優選手(ジェイテクト所属)。
五輪連覇に向けて、ケビン山崎と共に更なる進化を求め、新たなトレーニングにチャレンジしている。

彼女が持つ強靭な肉体に、より一層キレを出すため、走ったり飛んだりなどの直線的な動きだけではなく、ケビン山崎が生み出したSuper Treadmill Training(スーパー・トレッドミル・トレーニング)に取り組んでいる。

このSuper Treadmill Training(スーパー・トレッドミル・トレーニング)は「スプリント(走る)」を軸にした神経系トレーニングだ。

適切なフォームを意識し、脳から筋肉に指令を出す。
ここでいう筋肉の中には不随意筋と呼ばれるインナーマッスルも該当する。不随意筋とは、自らの意志では動かすことができない筋肉で、静止した状態では作用することがない。スーパー・トレッドミルで傾斜や速度をコントロールすることで、はじめてインナーマッスルが作用する環境をつくり出すことができるのだ。

脳から筋肉に指令を出し、順序よく円滑に100%以上の力で発揮させる訓練を向田選手は日々行っている。

Super Treadmill Trainingで得たカラダ(筋肉)の使い方を別のトレーニングや種目に適応させることで、どんな環境下でも自身のカラダ(筋肉)を自在に操れるようになる。そして今までよりも多くの筋肉を意識して動けるようになり、より強く、より速くなる。

向田選手にとって最大の武器になることは間違いない。
                   
この春からはスポーツ心理学を学ぶため、九州共立大学大学院に進学。競技と学業を両立させながら、2024年パリ五輪で連覇を狙う。

世界最強女王の向田真優選手の進化は止まらない。






「神経系トレーニング」と聞いて、あなたはどんなトレーニングを思い浮かべるだろうか?
スポーツ選手のためのトレーニングだったり、パフォーマス向上を目的とする特別なトレーニングを想像する人も少なくないだろう。
40年近くトレーニングに携わっている、トレーニングのスペシャリスト ケビン山崎に聞いてみた。

トレーニングには大きく分けて無酸素運動、有酸素運動がある。
これは動きに対するエネルギー源と所要時間をベースに区別される。2つの運動のうち、無酸素運動は強度が高く、結果を追求するためには分かりやすい運動だとケビンは答えた。

無酸素運動に着目したケビンはこうも語る。
無酸素運動そのものも、目的に応じていくつかの手段(トレーニング)に分かれている、と。
ひとつは、筋肥大を目指すウエイト・トレーニング、そしてもうひとつは、脳と筋肉の連携を向上させて扱える筋肉を増やし、活性化させる神経系トレーニングだ。

神経系のトレーニングでケビンが用いる最もポピュラーなトレーニングがスプリント・トレーニングだ。これは、Super Treadmill Training(スーパートレッドミルトレーニング)とも呼ばれる、「走る(ダッシュ)」を軸につくられたトレーニングで、日本ではTOTAL Workoutだけが所有している高速・高傾斜トレッドミルを用いたケビン山崎独自の神経系トレーニングメソッドである。

適切なフォームを意識してカラダを動かすことで、脳(神経)と筋肉の連携が上がり、同時間で考える量、使わなければならない筋肉量が飛躍的に向上する。

難易度を上げるために、バックペダルトレーニングという後ろ向きに走るトレーニングを導入することにより、フォワードのスプリント・トレーニングと比較して最大200%の筋肉の活性を誘発する。フォワードとバックペダルを組み合わせてトレーニングすることで、最短で、最も効率良く、トレーニング効果を出すことができる。

また、Super Treadmill Trainingはインナーマッスルから動きをつくりだすという特徴がある。インナーマッスルは不随筋と呼ばれる自らの意思で動かすことができない筋肉だが、ある環境下においてはインナーマッスル自体をコントロールし、意識的に動かすことが可能となる。インナーマッスルは静止した動きの中では作用することがなく、動きの中ではじめて作用する。つまり、すべての動作はこのインナーマッスルが始動することでつくりだされ、持ち合わせる筋肉の使い方にフォーカスすることでパフォーマンスを著しく向上させることができるのだ。勿論それはフィットネスへの応用も可能で、多くの人の日常に役立つ。
ケビンはこれまで多くのスポーツ選手にこのトレーニングを導入し、成果を上げてきた。

そしていつしか、この神経系トレーニングはスポーツ選手だけのものではなく、一般的に健康になりたい人や、美しいカラダを手に入れたい人などにも最短の結果を出せるのではないか? と考えるようになった。それは、「一般人を強度の低いアスリート」と位置づけるようになった彼のメソッドにつながる。

スポーツ選手が必要としているパフォーマンスの向上は、一般の人にとっても、日常生活が楽になり、これまでできなかったことができるようになるという達成感を感じられるものになる。
決して特別な人だけのものではないのが神経系トレーニングなのだ。

2021年の終わりごろから、ケビンはTOTAL Workout内に「Athlete Body Make Program」と題して、スポーツ選手のトレーニングをフィットネスに応用したプログラムを実施している。
受講する方が得られる最大の能力とは、「カラダの使い方を学び、身につけること」だ。
ウエイト・トレーニングは一切実施せず、神経系のトレーニングのみを行う。趣味で行うスポーツのパフォーマンス向上は勿論、不調だったカラダの部位がよくなることや、カラダのカタチが変わり、より「しなやかでかつアクティブな自分」になれると評判だ。

自分自身の可能性が広がるコンテンツとして大いに興味が持てる。






直径73mm、重さ143gのボールが100km/h以上でフィールドを駆け巡る。そんな野球において、投手は自身のカラダひとつでボールに「速度」「変化」を与え、タイミングをコントロールし駆け引きを繰り返す。

チームが優勝争いを展開するシーズンで一翼に名を連ねたプロ野球、楽天イーグルスの安樂智大選手は、ケビン山崎とのトレーニングで更なる進化を求めている。



安樂選手がケビン山崎とトレーニングを開始したのは2018年。ケガから復活した安樂選手は真っ直ぐに目標を見据えていた。本来のパフォーマンスを最大限引き出すプログラム「Athlete Tuning Method®︎」 (Redcordを活用)で、一層深いところからカラダと向き合い投球に落とし込んだ。

そして今、安樂選手の目標は「より沢山の筋肉を使うこと」だ。
これは、バイオメカニクスの観点からピッチングをひも解き、分解した動きを理解しなければパフォーマンス向上につなげることが難しい、といったプロアスリートでもなかなか困難な作業になる。カラダを物体として捉えると、骨、靭帯、腱、筋肉と脳、そして脳とそれらを繋ぐ神経が動きに直結する要素である。
ケビン山崎はその中でも、「筋肉」と「骨」に着目し、脳でコントロールができる状態を理想とする。重心移動による動作エネルギーを、更に効率良く加速させる為に筋肉を利用し、反発力を加えようという方法であるが、これは矢を放つ際の「弓」をカラダと捉えるとわかりやすい。通常通り矢を引いたところから、更にもう一段引くのだ。そしてそれだけでは終わらず、矢を放ったその瞬間に、弓自体を前に押し出して更に加速させるような取り組み− これを単純な弓矢ではなく、ケビン山崎は複雑な関節や筋肉が入り乱れる人間のカラダで行うアプローチをしようというのだ。

具体的には下記3工程に取り組み、ピッチングに落とし込んでいる。

1. Screw in 股関節に重心を正しく乗せ、力を溜める
2. Crunch 上半身を利用し力を溜め、支点の移動が起こる
3. Rotation 3Dな捻れを利用し、爆発的なパワーを生む

軸足の股関節で生み出したパワーをいかに指先まで伝えるか、これには安樂選手も、繊細かつ大胆な筋肉のコントロールが求められている。それぞれの部位に違ったベクトルと時差が生まれることで、単純に動作したときとはまるで違う感覚を得ることができる。
カラダのパワーを生み出すために、筋量を増やすのではなく、筋肉の使い方でボールへの力が増すのだから面白い。無理に筋出力をしていないため、脱力すべきところはより脱力しながら加速ができて随分と楽になる。加えて、バッターから見ればタイミングも変わるなど一石二鳥以上の内容だ。

このように、安樂選手のトレーニングはバイオメカニクスの最先端であり、またその進化の裏に見える強力な肉体を操る技巧からは目が離せない。








2021年11月29日

トレーニングの進化②

今回は、前回に引き続きトレーニングの進化をベースに話を進めていきたい。

スタンダードなウエイト・トレーニングで筋肉をつくり、スピード・トレーニングで動けるカラダをつくるというところまでは、これまで述べてきた通りだが、動けるカラダにもその質に目を向けると、ある一定のランクをつけることができる。

例えば、まっすぐに走るということや、上に跳ぶという直線的な動きにおいてのカラダの使い方に比べ、カラダを捻る動作というのはより多くの筋肉を使い、同時にインナーマッスルを使うことになる。つまり複雑化された動きは、それだけコントロールが難しいということだ。インナーマッスルがうまく作動するからこそ、アウターとして働く筋肉が動かされるわけなので、キーポイントはこのインナーマッスルにある。

神経系のトレーニングではスーパートレッドミルにおけるスプリントを用いたように、もう一段階複雑化された動きには、例えば捻りの代表格であるスウィングだ。日頃意識したことのない筋肉ばかりをより深く捻るという動作。それを理解することは容易ではない。そして最終的に、その捻りの強さとタイミングにおいてバットを持ちボールを打った際のパワーの生まれ方が大きく異なることにも気付くことになる。

また、このトレーニングが現在発見されている動きの中で最も難しいと想定してよいだろう。最も困難なこのインナーマッスルの動きを理解することができたとき、すべての競技においてそのパフォーマンスが向上する。勿論一般の方においても同様にしてカラダの使い方を熟知すると、カラダに起こる不調(肩こりや腰痛、ひざ痛など)から解放される。

そういったメリットとは反対にデメリットとして挙げられることは、習得するまでに時間がかかるということだ。しかし、ケビン山崎は自身のコンセプトでもある『最短で最大の結果』にこだわり、習得できる時間の短縮に一つの解決策を見出したのだ。

これまでの動作分析のように二次元といわれる動画の画面をベースに解析ソフトを利用することとは違い、三次元(3D)の世界でそれを実現するということだ。High Speed 3D Motion Capture を使用することで、捻りに欠かせない骨盤の動きが立体的に理解することが可能となる。

骨盤の回転速度、傾きなどを可視化、数値化することで断然理解の幅が広がる。思い付きや感覚では解決できないこの問題に対して、より脳を使い神経回路を通して筋肉にシグナルを送るプロセスを徹底解析した。



ケビンは脳を活性させ、潜在能力を引き出し、最終的にこれまでよりレベルの高いカラダの動かし方を学ぶことこそが、新時代のトレーニングだと考えている。




二刀流として野球界のみならず、世界中を熱狂させた大谷翔平選手。何故あのような目覚ましい活躍が可能だったのか?

最新のメソッドを元にケビン山崎が分析を行い、紐解くと実に面白い結果となる。その分析結果をケビン山崎はこのように表現する。

『彼は二刀流ではなく、The一刀流である』

身体から力を生み出す手法として、Propulsion Drive(推進駆動)という手法がある。これはピッチャーがリリースポイントでいかに100%の力を効率良く持ってくるか?を考える上で、非常に重要なプロセスである。

特に大谷翔平選手のように平均球速150kmを超えるピッチャーの場合、筋力に頼るのでなく、効率良く全身の筋肉の運動連鎖を起こさせることが必要となる。重要なプロセスは下記3つで、この一連の力の出し方をPropulsion Driveと呼んでいる(下記の図を参照)。

① 軸足を内旋させながら下方にプッシュする。
② 内旋し下方に圧力がかかった状態で、地面をプッシュする。
③ プッシュした力の反作用でLower Torso(体幹の下側)が軸足と逆回旋を起こす。



これにより、身体の内側から大きなうねり、てこの原理、反作用が生まれ、速球に繋がっている。そして分析を進めていくと、大谷翔平選手は、この160kmを超える速球を生み出せる身体の使い方をスイング時でも使って、力の増幅を行っている。という事実が分かる。



ピッチャーとバッター、二つの役割を果たしているから二刀流と呼ばれているのだが、このPropulsion Driveの身体の使い方をピッチャーとバッターを実践しているだろう大谷選手は、バイオメカニクス的には、唯一無二の『The一刀流』と言える。




2021年10月18日

武尊選手進化のカギ

「力強さ」「俊敏性」「爆発力」に「持久力」、対戦相手との空気感や作戦に至るまで多くの要素でトップクラスの能力が求められる格闘技。

武尊選手がケビン山崎とトレーニングを始めたのは、4年前。試合があるごとに最後の追い込みをかけるためのトレーニングと、試合当日のカラダの調整が目的でケビンのところへ通っていた。

しかし、今回はその取り組みに変化が見られた。試合前の短期集中トレーニングではなく、半年間という期間でピークをつくり出そうというものだ。

これはパワーを増やすというより、回復力の飛躍的向上が一番の目的となる。短い時間の中で最大のパフォーマンスを出すとなると、短時間での回復、時間内での活動量の増加が必要となる。それらを可能とすることに今回は取り組んだ。

回復力が上がると、日ごろの練習時のスパークリングにおいても、これまでよりも格段に良い状態で実施できていると感じるようになる。つまり今回は長期間を通してフィジカルの底上げが徹底的にできたということを意味する。また、武尊選手とケビンの取り組みには続きがあって、武尊選手が感覚で行っているパンチやキックにおいて、その分析を立体的に行うことで、弱点や強化ポイントを明確にした。

感覚的なものを数値化、可視化することで、自分自身の改善ポイントが明確になる。それは動画撮影という二次元の世界では解明できなかった技術だ。武尊選手に搭載された3Dのハイスピードカメラは動きを三次元で表し、カラダの中を立体的にみることができる。

骨盤の傾きを立体的にみることで、どのくらい体重が乗せられているか?そこからのキックはどのくらいの威力になるか?が分かる。また、左右差をうまく利用する方法や、相手の攻撃をいかに自分の力に変換できるか?なども明確になるというからすごい。

武尊選手のトレーニングは、まさにテクノロジーとの融合。強さの裏に見える最先端のトレーニング技術と彼の適応能力に、これからも目が離せない。

今回は、トレーニングの進化を述べる上で欠かすことのできない、各トレーニングについて詳しく述べることにしよう。

「目的」をゴールとするなら、トレーニングは間違いなく手段である。
その手段においては、理解し、納得するほど結果が出るとケビン山崎は言う。

まず念頭に置いておかなければいけないことがある。それは、トレーニングは常に「アップデイト」と「アップグレイド」を繰り返しているということだ。「アップデイト」は一つのトレーニングカテゴリー内における進化や発見のことを指し、「アップグレイド」はこれまでになかった要素、つまり新しいトレーニングカテゴリーが新設されることを意味する。

ここでは、ケビン山崎がつくり上げてきたトレーニングメソッドの「アップグレイド」に着目し、話を進めていきたい。

1986年、パーソナル・トレーナーとしてアメリカで活動をしていたケビンのところには、外見を変えたい人、健康になりたい人、パフォーマンスを上げたい人が集まってきていた。それらすべての人々に共通して必要だったことが『筋肉をつけて、代謝を上げる』ということだった。筋肉の量で外見は変わるし、代謝が上がるとさらに効率も上がる。健康とは明らかに代謝の高さを示すものであるし、パフォーマンスの基礎は筋肉量に比例する。だからこそ『筋肉をつくる』。それがカラダづくりの入り口になるのだ。

今や多くのトレーナーがそうであるように、普遍的にベースを構成するのはやはり『筋肉をつくること』を目的とした『Weight Training』である。最も効率良く筋肉を増やす方法として、ケビンが自身のメソッドでこだわったのは、リフティングの仕方とトレーニング部位の選定、セットの組み方だ。単純に重りを持ち上げるのではなく、効率よく筋肉を肥大させることをポイントとした。

生み出すエネルギーは重いものを持ち上げれば上げるほど大きくなる。よって1kgでも重いものを挙上することで筋肉をたくさん使い、回復も必要になる。それが筋肥大に有効な働きをすることをケビンは知っていた。下半身から上半身に力を連動させ、動きの中でウエイト・リフティングをすること。これを「Muscle in Motion」と名付け、そこにこだわった。

下半身の力を上半身に伝えるには反動に似た動きが必要になる。反動を使って1kgでも重い重りを挙上することが結果を左右するということだ。そして、最も筋肥大につながる挙上回数を10回に設定し、1回1時間、週に3回、3週間。そのセッティングが効率良くかつ効果的であることを発見したのだ。いつしか、それがトータル・ワークアウトのウエイト・トレーニングのベースとなり、多くの人が実践することで、結果を出し続けることへ繋がっていった。

1990年に入ると、ケビンのトレーニングメソッドが大きな転機を迎えることになる。それは、できた筋肉に神経を通す『神経系』のトレーニングだった。ケビンがアメリカで活動をしていたころからアスリートのクライアントが多く、中でもアメリカンフットボールの選手を中心に、大きなカラダでスピーディに動ける能力を求められる競技が多かった。

今でこそ、カラダが大きくても素早く動ける選手はそう珍しくはないが、一昔前までその能力には限界があると考えられていた。つくった筋肉は鎧のようなもので、神経を通さない限り役目を果たさない。実際に筋肉をつけたからと言って、ホームランが打てるわけでもなければ、ボクシングでノックアウトできるわけでもない。自らが持つ筋肉をどのようにコントロールできるか?が重要となる。

1990年、神経系を開花する画期的なトレーニングマシンに出会うまで、ケビンは試行錯誤しながらも、この神経系のトレーニングを取り入れていた。一例としてあげられるのが『パワーリフティング』だ。『パワーリフティング』は、2つ以上の筋肉を順番に100%使っていくことで出力が決まる。うまく筋肉連動ができたとき、思いもよらない力が出る。理にかなった方法で多くのトップアスリートは神経系を鍛えていった。しかし、この方法には唯一欠点があった。習得に時間がかかるということだ。

1993年、ケビンが出会った活気的な神経系のトレーニングというのは、 Athletic Republicのスーパートレッドミルを使ったものだった。つまりダッシュをする筋肉を学び、その筋肉の連動を良くしていくことで、自然とスピ―ドが増加し、カラダにキレが生まれるというものだ。パワーリフティングで神経系を良くすることよりも2.5倍速く、同じ結果を得ることができるというのだからすごい。

ケビン山崎のトレーニングメソッドが静から動へ動き出した瞬間であり、『アップグレイド』された瞬間だ。この革命によって、ケビン山崎はより多くの目的をより短時間で叶えるカラダを提供できるようになる。トータル・ワークアウトというジムをつくり、そこで指導する数多くのパーソナル・トレーナーも一人残らず、『スーパートレッドミル』を用いた神経系の処方を習得している。

トータル・ワークアウトが他にないトレーニング結果を短時間で出せる秘密がここにあったのだと確信した。そして今、それがトータル・ワークアウトのトレーニングにおいてスタンダードとなっている。