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2024年パリオリンピックでの2連覇に向けて日々トレーニングに励んでいる志土地真優選手(ジェイテクト所属、旧姓:向田)。彼女のトレーナー、ケビン山崎との特別対談が行われた。 

志土地選手はこれまでも他の記事で紹介してきた女子レスリング53㎏級の世界王者。東京オリンピック2020では見事金メダルを獲得した。ケビン山崎とは東京オリンピックの後からトレーニングを開始している。

そんな志土地選手にはじめてケビンとあった時の印象を聞いてみた。




志土地選手:初めてお会いしたのは、大学生の時でした。ものすごく怖そうな印象でした。

ケビン:よく言われるんだよね(笑)

志土地選手:人見知りなので言われたことを「はい」とやるのみ

ケビン:「はい」とも言わないから無視されてるのかと思ってたよ 笑




志土地選手:今は、ダメな部分はダメと言ってくれ、細かく教えてくれる。自分は新しい技を習得するのにも時間がかかるタイプですが、それをしつこくやることで、得意技になったりする。そういう経験があるので、できなくてもしつこく教えてくれるというのがありがたいです。




ケビン:進化されるからですよ! 僕は、初めて志土地選手の試合を東京五輪の映像でみた時、ココロがつよいなぁと思った。スピードよりも、上手に力をつかっているタイプの選手に見えた。うまくマネジメントするというより、強引に持っていくというか。
始めてトレーニングをした時も、決して上手じゃなくて、でも自分に必要と思ったら習得するために一生懸命に取り組む。そんな人だと理解しましたよ。そして徐々に自分のものにしていった今では、前向きの走りは本当によくなった。後ろ向きの走りにも挑戦していて、ああいうのが上手になればなるほど、彼女のポテンシャルにココロも加わってすごいことになるだろうなと思ってる。

志土地選手:やはり、25歳とか、ある程度の年齢になると自分の好きなトレーニングをしたり、今までの貯金と、怪我しないカラダづくりがメインになるので、この年齢から更に上にあげるというやり方をしている人はあまりいないと思います。そしてこの年齢からでも上がる、というのが実感できているので、すごく嬉しい。

ケビン:12月から始まるパリオリンピック出場をかけての試合では、今出来なくて課題になっているトレーニングをクリアしていってほしい。出した力をもらって、たして次にいく!というのをもっと上手になってほしい。止まっちゃうんだよね。だからもっとンンン~ッてして!ためてためてためて、あがって行ってほしい。左右前後、できるようにして360度カバーしてほしい。相手の力をもらって、いけるようになるしね。
そういうのをレスリングの練習でも感じてもらえると嬉しいよね。

志土地選手:そうですね。やはり、バックペダルとかやらせてもらっているけれど、自分が苦手、という部分をつたえるとそれに対するトレーニングをやってくださるのでありがたいです。頑張ります。




はじめて向き合って対談という形でインタビューをした二人にとって、互いの印象や今取り組んでいるトレーニング内容など沢山の話を聞くことができた。

東京オリンピックで王者になってからのプレッシャーよりもそれまでのプレッシャーの方がつらかったという志土地選手。今では大学院で心理学を学び自分の選手としてのメンタルを整える事にもうまく役立てているのだろう。パリオリンピックもまた挑戦者の気持ちで臨みたいという彼女の影には、勝利への確信をトレーニングを通して与え続けるケビン山崎の姿があった。


いつまでも「次の試合」があるわけではない。
一般的な就業期間よりも短く満了を迎えるのがアスリートである。

年齢的な規定があるわけでもなく、自分の意思でその卒業すべき日を決める。それは我々が想像するより遥かに難しい決断なのだろうと推測できる。好きで始めた競技でも、親や友人の影響で始めたスポーツでも、きっかけは何であれ、職業としてそれを選んだときから「引退」という日に向かって進んで行く。

ケビン山崎が日本へ来たのは、元プロ野球選手 清原和博氏のパーソナル・トレーナーとして、より一層専念するためだった。そして、ケビンが迎えた第一号の「引退」は清原氏の引退となった(2008年)。あれから、何人かのアスリートの引退を見送ってきたケビンは、彼らのこれからにも携わっていきたいと都度思うらしい。先日の元小結 千代鳳の引退も例外ではない。



令和3年11月場所を最後に土俵から降りた千代鳳。2015年からケビンとトレーニングをし、度重なる怪我にも屈せず、突き押しを得意技として闘い続けた。生涯戦歴430勝363敗104休(80場所)という成績を残した千代鳳は常にどこかを痛めており、ケビンからカラダの使い方についてトレーニング指導を受けていた。6年間のトレーニングでどんなやり取りがあったのか?我々には知る余地もないが、断髪式にて髷にはさみを入れるその瞬間、二人の特別な会話がその関係性を物語っていたように思う。



佐ノ山親方としてこれからの人生、後世の指導に力を注ぐことを決断した千代鳳。
その決断をケビンも同じ指導者チームとして温かく見守り、そして仲間としてお互いを高め合う存在になっていくことだろう。



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2024年パリオリンピックでの2連覇に向けて日々トレーニングに励んでいる志土地真優選手(ジェイテクト所属、旧姓:向田)。彼女のトレーナー、ケビン山崎との特別対談が行われた。 

志土地選手はこれまでも他の記事で紹介してきた女子レスリング53㎏級の世界王者。東京オリンピック2020では見事金メダルを獲得した。ケビン山崎とは東京オリンピックの後からトレーニングを開始している。

そんな志土地選手にはじめてケビンとあった時の印象を聞いてみた。




志土地選手:初めてお会いしたのは、大学生の時でした。ものすごく怖そうな印象でした。

ケビン:よく言われるんだよね(笑)

志土地選手:人見知りなので言われたことを「はい」とやるのみ

ケビン:「はい」とも言わないから無視されてるのかと思ってたよ 笑




志土地選手:今は、ダメな部分はダメと言ってくれ、細かく教えてくれる。自分は新しい技を習得するのにも時間がかかるタイプですが、それをしつこくやることで、得意技になったりする。そういう経験があるので、できなくてもしつこく教えてくれるというのがありがたいです。




ケビン:進化されるからですよ! 僕は、初めて志土地選手の試合を東京五輪の映像でみた時、ココロがつよいなぁと思った。スピードよりも、上手に力をつかっているタイプの選手に見えた。うまくマネジメントするというより、強引に持っていくというか。
始めてトレーニングをした時も、決して上手じゃなくて、でも自分に必要と思ったら習得するために一生懸命に取り組む。そんな人だと理解しましたよ。そして徐々に自分のものにしていった今では、前向きの走りは本当によくなった。後ろ向きの走りにも挑戦していて、ああいうのが上手になればなるほど、彼女のポテンシャルにココロも加わってすごいことになるだろうなと思ってる。

志土地選手:やはり、25歳とか、ある程度の年齢になると自分の好きなトレーニングをしたり、今までの貯金と、怪我しないカラダづくりがメインになるので、この年齢から更に上にあげるというやり方をしている人はあまりいないと思います。そしてこの年齢からでも上がる、というのが実感できているので、すごく嬉しい。

ケビン:12月から始まるパリオリンピック出場をかけての試合では、今出来なくて課題になっているトレーニングをクリアしていってほしい。出した力をもらって、たして次にいく!というのをもっと上手になってほしい。止まっちゃうんだよね。だからもっとンンン~ッてして!ためてためてためて、あがって行ってほしい。左右前後、できるようにして360度カバーしてほしい。相手の力をもらって、いけるようになるしね。
そういうのをレスリングの練習でも感じてもらえると嬉しいよね。

志土地選手:そうですね。やはり、バックペダルとかやらせてもらっているけれど、自分が苦手、という部分をつたえるとそれに対するトレーニングをやってくださるのでありがたいです。頑張ります。




はじめて向き合って対談という形でインタビューをした二人にとって、互いの印象や今取り組んでいるトレーニング内容など沢山の話を聞くことができた。

東京オリンピックで王者になってからのプレッシャーよりもそれまでのプレッシャーの方がつらかったという志土地選手。今では大学院で心理学を学び自分の選手としてのメンタルを整える事にもうまく役立てているのだろう。パリオリンピックもまた挑戦者の気持ちで臨みたいという彼女の影には、勝利への確信をトレーニングを通して与え続けるケビン山崎の姿があった。


いつまでも「次の試合」があるわけではない。
一般的な就業期間よりも短く満了を迎えるのがアスリートである。

年齢的な規定があるわけでもなく、自分の意思でその卒業すべき日を決める。それは我々が想像するより遥かに難しい決断なのだろうと推測できる。好きで始めた競技でも、親や友人の影響で始めたスポーツでも、きっかけは何であれ、職業としてそれを選んだときから「引退」という日に向かって進んで行く。

ケビン山崎が日本へ来たのは、元プロ野球選手 清原和博氏のパーソナル・トレーナーとして、より一層専念するためだった。そして、ケビンが迎えた第一号の「引退」は清原氏の引退となった(2008年)。あれから、何人かのアスリートの引退を見送ってきたケビンは、彼らのこれからにも携わっていきたいと都度思うらしい。先日の元小結 千代鳳の引退も例外ではない。



令和3年11月場所を最後に土俵から降りた千代鳳。2015年からケビンとトレーニングをし、度重なる怪我にも屈せず、突き押しを得意技として闘い続けた。生涯戦歴430勝363敗104休(80場所)という成績を残した千代鳳は常にどこかを痛めており、ケビンからカラダの使い方についてトレーニング指導を受けていた。6年間のトレーニングでどんなやり取りがあったのか?我々には知る余地もないが、断髪式にて髷にはさみを入れるその瞬間、二人の特別な会話がその関係性を物語っていたように思う。



佐ノ山親方としてこれからの人生、後世の指導に力を注ぐことを決断した千代鳳。
その決断をケビンも同じ指導者チームとして温かく見守り、そして仲間としてお互いを高め合う存在になっていくことだろう。