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直径73mm、重さ143gのボールが100km/h以上でフィールドを駆け巡る。そんな野球において、投手は自身のカラダひとつでボールに「速度」「変化」を与え、タイミングをコントロールし駆け引きを繰り返す。
チームが優勝争いを展開するシーズンで一翼に名を連ねたプロ野球、楽天イーグルスの安樂智大選手は、ケビン山崎とのトレーニングで更なる進化を求めている。
安樂選手がケビン山崎とトレーニングを開始したのは2018年。ケガから復活した安樂選手は真っ直ぐに目標を見据えていた。本来のパフォーマンスを最大限引き出すプログラム「Athlete Tuning Method®︎」 (Redcordを活用)で、一層深いところからカラダと向き合い投球に落とし込んだ。
そして今、安樂選手の目標は「より沢山の筋肉を使うこと」だ。
これは、バイオメカニクスの観点からピッチングをひも解き、分解した動きを理解しなければパフォーマンス向上につなげることが難しい、といったプロアスリートでもなかなか困難な作業になる。カラダを物体として捉えると、骨、靭帯、腱、筋肉と脳、そして脳とそれらを繋ぐ神経が動きに直結する要素である。
ケビン山崎はその中でも、「筋肉」と「骨」に着目し、脳でコントロールができる状態を理想とする。重心移動による動作エネルギーを、更に効率良く加速させる為に筋肉を利用し、反発力を加えようという方法であるが、これは矢を放つ際の「弓」をカラダと捉えるとわかりやすい。通常通り矢を引いたところから、更にもう一段引くのだ。そしてそれだけでは終わらず、矢を放ったその瞬間に、弓自体を前に押し出して更に加速させるような取り組み− これを単純な弓矢ではなく、ケビン山崎は複雑な関節や筋肉が入り乱れる人間のカラダで行うアプローチをしようというのだ。
具体的には下記3工程に取り組み、ピッチングに落とし込んでいる。
1. Screw in 股関節に重心を正しく乗せ、力を溜める
2. Crunch 上半身を利用し力を溜め、支点の移動が起こる
3. Rotation 3Dな捻れを利用し、爆発的なパワーを生む
軸足の股関節で生み出したパワーをいかに指先まで伝えるか、これには安樂選手も、繊細かつ大胆な筋肉のコントロールが求められている。それぞれの部位に違ったベクトルと時差が生まれることで、単純に動作したときとはまるで違う感覚を得ることができる。
カラダのパワーを生み出すために、筋量を増やすのではなく、筋肉の使い方でボールへの力が増すのだから面白い。無理に筋出力をしていないため、脱力すべきところはより脱力しながら加速ができて随分と楽になる。加えて、バッターから見ればタイミングも変わるなど一石二鳥以上の内容だ。
このように、安樂選手のトレーニングはバイオメカニクスの最先端であり、またその進化の裏に見える強力な肉体を操る技巧からは目が離せない。
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