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今回は、前回に引き続きトレーニングの進化をベースに話を進めていきたい。
スタンダードなウエイト・トレーニングで筋肉をつくり、スピード・トレーニングで動けるカラダをつくるというところまでは、これまで述べてきた通りだが、動けるカラダにもその質に目を向けると、ある一定のランクをつけることができる。
例えば、まっすぐに走るということや、上に跳ぶという直線的な動きにおいてのカラダの使い方に比べ、カラダを捻る動作というのはより多くの筋肉を使い、同時にインナーマッスルを使うことになる。つまり複雑化された動きは、それだけコントロールが難しいということだ。インナーマッスルがうまく作動するからこそ、アウターとして働く筋肉が動かされるわけなので、キーポイントはこのインナーマッスルにある。
神経系のトレーニングではスーパートレッドミルにおけるスプリントを用いたように、もう一段階複雑化された動きには、例えば捻りの代表格であるスウィングだ。日頃意識したことのない筋肉ばかりをより深く捻るという動作。それを理解することは容易ではない。そして最終的に、その捻りの強さとタイミングにおいてバットを持ちボールを打った際のパワーの生まれ方が大きく異なることにも気付くことになる。
また、このトレーニングが現在発見されている動きの中で最も難しいと想定してよいだろう。最も困難なこのインナーマッスルの動きを理解することができたとき、すべての競技においてそのパフォーマンスが向上する。勿論一般の方においても同様にしてカラダの使い方を熟知すると、カラダに起こる不調(肩こりや腰痛、ひざ痛など)から解放される。
そういったメリットとは反対にデメリットとして挙げられることは、習得するまでに時間がかかるということだ。しかし、ケビン山崎は自身のコンセプトでもある『最短で最大の結果』にこだわり、習得できる時間の短縮に一つの解決策を見出したのだ。
これまでの動作分析のように二次元といわれる動画の画面をベースに解析ソフトを利用することとは違い、三次元(3D)の世界でそれを実現するということだ。High Speed 3D Motion Capture を使用することで、捻りに欠かせない骨盤の動きが立体的に理解することが可能となる。
骨盤の回転速度、傾きなどを可視化、数値化することで断然理解の幅が広がる。思い付きや感覚では解決できないこの問題に対して、より脳を使い神経回路を通して筋肉にシグナルを送るプロセスを徹底解析した。
ケビンは脳を活性させ、潜在能力を引き出し、最終的にこれまでよりレベルの高いカラダの動かし方を学ぶことこそが、新時代のトレーニングだと考えている。
二刀流として野球界のみならず、世界中を熱狂させた大谷翔平選手。何故あのような目覚ましい活躍が可能だったのか?
最新のメソッドを元にケビン山崎が分析を行い、紐解くと実に面白い結果となる。その分析結果をケビン山崎はこのように表現する。
『彼は二刀流ではなく、The一刀流である』
身体から力を生み出す手法として、Propulsion Drive(推進駆動)という手法がある。これはピッチャーがリリースポイントでいかに100%の力を効率良く持ってくるか?を考える上で、非常に重要なプロセスである。
特に大谷翔平選手のように平均球速150kmを超えるピッチャーの場合、筋力に頼るのでなく、効率良く全身の筋肉の運動連鎖を起こさせることが必要となる。重要なプロセスは下記3つで、この一連の力の出し方をPropulsion Driveと呼んでいる(下記の図を参照)。
① 軸足を内旋させながら下方にプッシュする。
② 内旋し下方に圧力がかかった状態で、地面をプッシュする。
③ プッシュした力の反作用でLower Torso(体幹の下側)が軸足と逆回旋を起こす。
これにより、身体の内側から大きなうねり、てこの原理、反作用が生まれ、速球に繋がっている。そして分析を進めていくと、大谷翔平選手は、この160kmを超える速球を生み出せる身体の使い方をスイング時でも使って、力の増幅を行っている。という事実が分かる。
ピッチャーとバッター、二つの役割を果たしているから二刀流と呼ばれているのだが、このPropulsion Driveの身体の使い方をピッチャーとバッターを実践しているだろう大谷選手は、バイオメカニクス的には、唯一無二の『The一刀流』と言える。
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